マウス受精卵の発生過程における内毒素LPS(エンドトキシン)の影響

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  • Effect of LPS exposure during fertilization in mouse.

抄録

<p>【目的】内毒素LPSは繁殖機能を低下させることが知られており,ウシやヒトの繁殖障害の原因として考えられている。マウスを用いた先行研究において,受精時にLPSを添加し体外受精(IVF)を行うと,桑実胚以降への発生率が低下したことが報告されている。しかし,LPSがどのような作用機序で胚発生率の低下を引き起こしているかについては解明されていない。そこで本研究では,卵丘細胞を分離した卵母細胞を用いてLPS存在下でIVFを行い,さらにマウス生体を用いて受精時にLPSを腹腔内投与し,その後の胚発生および胎仔形成への影響を調べた。【方法】in vitroにおける検討:3–6週齢のICR雌マウスに過排卵処理を行い,卵管より卵子卵丘細胞複合体(COCs)を採取したのち,ヒアルロニダーゼで裸化処置した。裸化卵子と活性化精子を用いてLPS(0, 1, 10 µg/ml)を添加した受精培地(TYH培地)にてIVFを行った。その後,発生培地(mW培地, LPS不使用)にて発生させ受精率および各発生段階(2 cell, 4 cell, 桑実胚, 胚盤胞)の発生率を算出した。in vivoにおける検討:8週齢以上のICRマウスを用い,自然交配後プラグを確認した日をdpc0.5とした。0, 10, 100, 200 µg/kg LPSを腹腔内投与し,dpc18.5に解剖を行い,死産および吸収の痕跡を確認した。また,胎盤重量,胎仔重量および頭臀長を測定した。【結果】in vitro:受精率においては3区間で有意な差は見られなかった。1 µg/ml LPS処理区では受精および発生率に変化はなかった。しかし10 µg/ml LPS処理区では対照区と比較し4 cell以降の発生率が有意に低下した(対照区:93.6 %, 84.9 %, 82.0 %, 10 µg/ml LPS処理区:83.0 %, 71.0 %, 62.0 %, P<0.05)。in vivoにおける影響は,現在実験にて確認中である。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713001237376
  • NII論文ID
    130007486992
  • DOI
    10.14882/jrds.111.0_or1-32
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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