GFPおよびRFPマウスの集合キメラ胚イメージングによる割球の 運命決定の再評価

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タイトル別名
  • Reassessment of deveropmental fate of blastomeres between GFP and RFP embryo chimera by live cell imaging

抄録

<p>【目的】受精卵の割球は16細胞期にICMとTEへ分化する。その運命決定は,①先に分裂した割球はICM,遅れた割球はTEに分化する,②16細胞期に外側に配置された割球がTE,内側に配置された割球がICMに分化する,とされている。当時は2つの胚を区別する技術は無く,生まれた産仔のキメリズムで確認された。そこで本研究では2色のマウス胚を用いて集合キメラを作製し,蛍光ライブセルイメージングにより運命決定の再評価を試みた。【方法】全身でGFPあるいはRFPを発現するマウスから交尾後2日目の胚を回収し,それぞれの胚をPHPで集合させ,ライブセルイメージング(CV1000)で2日間観察しながら胚盤胞への細胞系譜を調べた。実験区では発育ステージが異なる2つの胚の間でのキメラ,同じ発育ステージだが1つの胚を2つの胚で挟んだサンドイッチキメラなどを行った。胚盤胞へ発生したキメラ胚の一部は移植し,残りは固定し免疫染色を行っている。【結果】キメラ胚をライブセルイメージングしたところ,キメラ胚の割球ははっきりと緑と赤に区別でき,観察したまま胚盤胞まで発生させることが出来た。対照区ではICM・TEへの寄与率は両胚で同程度であった。一方,発生ステージの異なる2つの胚を集合させたキメラ胚の場合は67%が,3つの胚を使ったサンドイッチキメラの場合は80%が,胚の発生ステージや配置とは無関係にICM・TEへ分化した。現在,免疫染色及び胚移植により詳細を確認中である。【考察】本研究によりキメラ胚の発生の詳細を観察することが出来たことから,我々の方法が初期胚での細胞系譜を視覚的に明瞭に示す有効な手段であることが証明された。その結果,一部の胚は従来説を裏付けていたが,半数以上の胚は従来説とは無関係に分化していることが明らかとなった。今後は発育ステージのより細かな組み合わせやOct-RFPとCdx-GFPマウスのキメラ胚を用いて,割球の運命決定をより正確に明らかにしていきたい。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713002208128
  • NII論文ID
    130007487509
  • DOI
    10.14882/jrds.111.0_p-67
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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