ベル不等式 : その物理的意義と近年の展開(<小特集>量子もつれ)

  • 筒井 泉
    高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Bell's Inequality : Its Significance in Physics and Recent Ramifications(Quantum Entanglement)
  • ベル不等式 : その物理的意義と近年の展開
  • ベル フトウシキ : ソノ ブツリテキ イギ ト キンネン ノ テンカイ

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説明

ベル不等式とベル定理の物理的な意義について,その歴史的背景と今日における影響を含めて解説する.EPR論文で提示されたアインシュタインの量子論に対する懐疑的立場は,ベルによって局所実在性を持つ隠れた変数の理論として体現されて,実験的にその可否が検証可能な形となった.それが2者間の相関に関するベル不等式であり,これまで数多くの検証実験が行われてきたが,本稿ではこれらの実験に共通する問題点と近年の展開を概観し,その物理的意味を吟味する.実験的に明らかとなったベル不等式の破れは,物理量の実在性がアインシュタインが想定したような局所的なものではなく,非局所的にも測定の状況(文脈)に依存するものであることを示唆している.

収録刊行物

  • 日本物理学会誌

    日本物理学会誌 69 (12), 836-844, 2014-12-05

    一般社団法人 日本物理学会

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