社会関係資本と家族要因の関連と効果―ジェンダー論の視点から

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書誌事項

タイトル別名
  • Relation and Effect of Social Capital and Family Factors: from the Viewpoint of Gender Theory

説明

<p>本稿はジェンダー論の観点から社会関係資本(SC)の効果について実証的に検討するものである。SC研究はしばしばジェンダーブラインドであるという批判が寄せられてきた。それはSC生産活動が性別役割を強化・再生産することに無自覚であることへの批判である。本稿ではそれらの批判をふまえ,特に家族での活動およびそこでの権力作用に注目し,それらが個人が所有するSCにどのように関連しいかなる利益をもたらすか,都市の家族を対象にした量的調査から分析した。</p><p>その結果,次のことが明らかになった。豊かなSCから多くの利益を得ているのは女性の方である。満足感,健康,娯楽活動,市民意識などとの関連をみると,男性にとっては本人が所有する経済・人的資本と家族が資産となっているのに対し,女性では自身と家族に加えネットワークが資産である。女性にとって特に,橋渡し型SCは満足感,娯楽,健康,市民意識の醸成といった利益をもたらしている。</p><p>家族内SCは男女とも多くの面でプラスの効果をもたらしている。密な家族は家族内SCを用いてネットワークをつくる。ただし,密な家族とは協力行動を多くおこなう家族であり,女性のケア活動への大きな貢献を意味するのではない。ケア活動は女性の橋渡し型SCの構築を阻害する。つまり,家族内SCを増やすという提案は男性にはプラスの利益をもたらすが,女性の場合には橋渡し型SCの醸成を阻害しない途を探ることが必要である。</p>

収録刊行物

  • 社会情報学

    社会情報学 6 (3), 19-33, 2018

    一般社団法人 社会情報学会

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713012696960
  • NII論文ID
    130007497906
  • DOI
    10.14836/ssi.6.3_19
  • ISSN
    24322148
    21872775
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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