カイコの自然免疫

書誌事項

タイトル別名
  • Innate immune responses in the silkworm, Bombyx mori
  • カイコの自然免疫 : 血球の食作用と抗菌タンパク質の誘導合成
  • カイコ ノ シゼン メンエキ : ケッキュウ ノ ショク サヨウ ト コウキン タンパクシツ ノ ユウドウ ゴウセイ
  • ―血球の食作用と抗菌タンパク質の誘導合成―
  • —Phagocytosis of hemocytes and inducible synthesis of antibacterial proteins—

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抄録

<p>昆虫には優れた免疫系が発達しているが,脊椎動物で見られるような抗体生産や免疫記憶を伴う獲得免疫機能は備えていない.昆虫の免疫系は主として2種類に大別でき,細胞性と液性応答がある.</p><p>実際に,これら応答反応についてカイコ幼虫(Bombyx mori)を低温麻酔した後,種々の接種源を注射して調べた.細胞性防御応答として,墨汁の注射後3時間目には血球の食作用活性が観察され,1日後では血球に墨炭素粒子の蓄積が認められた.また,ポリスチレンビーズを注射したとき,血球にビーズが取り込まれることが明確に観察できた.液性応答である化学的防御についても,煮沸処理した大腸菌または大腸菌由来のリポ多糖(LPS)を注射した幼虫を用いて調べた.寒天平板カップ法で体液の抗菌活性を調べると,注射後6~24時間目では安定的に抗菌活性が検出された.また,注射後6,12,24時間目に採取した体液を未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離したとき,抗菌タンパク質が誘導合成されていることが明らかになった.本研究結果から,昆虫の免疫応答は有益な教材として高校で受け入れられるものと考えられる.</p>

収録刊行物

  • 生物教育

    生物教育 59 (1), 10-18, 2017

    一般社団法人 日本生物教育学会

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