地域のレジティマシーをつくるのはだれか――セネガル・バンブーン地域共同体海洋保護区の事例から――

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タイトル別名
  • The Basis of Legitimacy: A Case Study of the Bamboung Community-Based Marine Protected Area in Senegal
  • チイキ ノ レジティマシー オ ツクル ノ ワ ダレカ セネガル バンブーン チイキ キョウドウタイ カイヨウ ホゴク ノ ジレイ カラ

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抄録

<p>生物多様性保全ネットワークの構築と地方分権化という2つの大きな流れを受け,西アフリカでは海洋保護区の設置が進められている。人口増加に伴う乱獲による資源の枯渇というグローバルな言説は外部者の介入を正当化し,構造調整プログラムによる民主化の試みは自然資源管理の権限を国家から地方自治体に委譲することを可能にする。</p><p>本稿では,セネガル共和国・バンブーン地域共同体海洋保護区を事例に,所有・利用・管理の社会的背景に着目して資源にかかわる人々のレジティマシーを検討するとともに,グローバルな言説の拠りどころである海洋保護区の目的を検証する。海洋という境界の曖昧な空間においては,必然的に利害関係者は多様化する。地域住民というアクターの内部においても,歴史や自然とのかかわりの濃淡により複数のレジティマシーが生成され競合し,さらに社会システムのもつ曖昧さや水産資源に関する知見・情報の不確実性が利害関係者のレジティマシーを弱めていく。本事例は幅広い利害関係者による資源管理の試みが逆に地域住民の対立を深刻化させていくジレンマを提起する。</p>

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