Behavioral biometrics for chimpanzees

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  • 行動バイオメトリクスを用いたチンパンジーの個体識別

Description

<p>近年,顔や指紋などによる生体認証(バイオメトリクス)ではなく,ふるまいのパターンから個体識別を行う「行動バイオメトリクス」がヒトの生体認証に対して適用されつつある。一方,動物行動研究においては生体認証による個体識別の自動化の必要性が指摘されてきた。われわれは,集団で暮らすチンパンジーの飼育エリアに隣接する形でウォークイン型のブースを設置し,「いつでもどこでもだれとでも」認知課題ができる環境を構築した。そして,「いまここでだれ」が課題をしているのかを瞬時に判別し,その個体の学習状況に応じた課題をオーダーメイドできるシステムの構築をめざしてきた。しかしながら,導入された顔認証システムが自然光の照明条件に多大な影響を受けるため,これを補完すべく,今回,行動バイオメトリクスの導入可能性を検討した。多数の個体に対して,長期にわたる学習訓練を必要とせず,かつ個体差が顕著にあらわれる課題を「パスワード課題」として設定した。課題は,タッチパネルモニタ上に提示される4つの同一の図形自由な順序で自由なペースで反応すると報酬が得られるという極めて単純な課題である。この課題を京都大学霊長研究所に暮らす13個体のうちの8個体で実施し,反応順序と反応時間を記録した。このデータをもとに,サポートベクターマシンによる分類を実施したところ,学習用のデータセットでの誤判断率が7.2%,交差検証エラーが11.6%,そして新規セットでのテスト時の正答率が87.1%というじゅうぶん使用に耐えうる結果が得られた。このことは,行動の個体差の中には,個体内変動だけではなく,その個体を特徴づける個体間変動が明確に存在することを示唆している。今後は,同時に記録している反応の強さ(反応圧)もデータとして活用し,機械学習によって個体識別の精度を高めたい。また,ここで見られる反応パターン間の個体間での類似性と「性格特性」等の指標との連関についても検討していく予定である。</p>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390845713025049216
  • NII Article ID
    130007521029
  • DOI
    10.14907/primate.34.0_47_2
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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