タマネギの耐雪性と糖およびフルクタンの関係

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between Snow Tolerance and Fructan Accumulation in Onion
  • タマネギ ノ タイセツセイ ト トウ オヨビ フルクタン ノ カンケイ

この論文をさがす

抄録

積雪地域の秋まきタマネギの耐雪性と積雪前の糖およびフルクタン含量の関係について検討した.播種日は同日で移植日を変えた栽培試験で,積雪前の生育と糖およびフルクタン含量に移植日の影響が認められた.移植日が早いと生育は大きいが,フルクタンはほとんど蓄積されず,糖の蓄積も少なくなった.慣行的な移植日では生育は小さいが,フルクタンは重合度9まで蓄積され,単糖,二糖を含めた糖類総含量も多くなっていた.重合度の高いフルクタンが蓄積され,糖類総含量が多い慣行的な移植日で生存率が高くなっていたことから,積雪前に蓄積された糖およびフルクタンは積雪下での代謝エネルギーとなり,含量が多いほど耐雪性が向上すると推察された.慣行的な移植日で融雪以降の生存率が低下せず高く維持されていたことから,糖およびフルクタンは生育維持にも使用されると考えられた.タマネギを15 ℃および5 ℃で生育させると,15 ℃で5 ℃より糖の蓄積が少なく,0.5 ℃の低温暗黒条件で9週後に枯死した.5 ℃で生育したものに枯死は認められなかったことから糖含量は低温暗黒条件下の生存と相関があった.0.5 ℃の暗黒条件下で糖からフルクタンへの変化が認められたことから,フルクタン蓄積は5 ℃で行われず,0.5 ℃下では暗黒でも合成されることが判明した.

収録刊行物

  • 植物環境工学

    植物環境工学 30 (4), 222-230, 2018-12-01

    日本生物環境工学会

参考文献 (3)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ