SfM写真測量と積雪観測から検討した安比高原における湿地の成立環境

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  • Geomorphic condition suitable for wetland formation on a volcanic surface studied from SfM photogrammetry and snow observation in Appi Highland, northeastern Japan

抄録

奥羽山脈の第四紀火山地域では,火山原面上と地すべり地に主に湿地が分布し,火山原面上では高標高域の積雪深の大きい場所のほか,積雪深が小さいにも関わらず溶岩台地末端部の平坦地にも湿地が立地する場合がある.これらは積雪もしくは地下水といった涵養源の違いを示唆し,火山原面上の湿地であっても,気候変動に対する応答性が異なると推測されるが,湿地の成立環境について詳細は未解明である.本研究では,八幡平火山群の安比高原奥の牧場に分布する湿地群を対象として,データロガーおよび定点カメラで積雪観測をするとともに,UAVで撮影した空中写真から作成したDSMおよびオルソモザイク写真を判読して,少雪な火山原面上において湿地が成立しやすい地形環境を明らかにすることを目的とする.観測の結果,2015年は11月25日から積雪開始し,湿原内では2016年5月8日に融雪を完了した.オルソモザイク画像から湿地を判読した結果,調査対象範囲内に136の湿地を認定した.湿地は岩畑山南側の浅く緩やかな溝状凹地形内に帯状に分布し.斜面上部を河川が流れる西側で湿地面積が小さい傾向が認められた.個々の湿地は小規模凹地内に形成され,明瞭な水路ではないが網状の地下水ネットワークで湿地同士が接続されているような様子が観察された.多数の雪田が分布する八幡平稜線沿いで融雪時期が6月以降であることと比較すると,安比高原の融雪時期は早い.また,黒滝では火砕流堆積物を被覆する溶岩層が不透水層となって滝が流下する様子を観察した.したがって,奥の牧場では,周辺斜面からの浅層地下水が滞留し,凹地部分で地下水位が相対的に高くなるために湿地群が形成されていると考えられる.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713026815488
  • NII論文ID
    130007539913
  • DOI
    10.14866/ajg.2018a.0_90
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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