普通社債の引受競争と発行利回り

書誌事項

タイトル別名
  • フツウ シャサイ ノ ヒキウケ キョウソウ ト ハッコウ リマワリ

この論文をさがす

抄録

<p>我が国における普通社債の発行市場においては,流通市場の実勢から大幅に乖離するような過少な応募者利回りの設定が行われ,その結果新発債を購入する投資家の利益を損なっているとの指摘がしばしば間かれる.</p><p>本論文では社債発行企業の財務情報を各々独自に把挃する証券会社間による過度の引受競争が,発行時の応募者利回りを適正水準から歪めているという想定に基づき,入札競争モデルを基礎としてこの事実を描写する理論モデルを作成した.</p><p>またこのモデルを用いて実証的に現実のデータ分析を行ったところ,やはり発行利回りは流通市場での実勢利回りより有意に低く設定されていることが判明し,かつ次の3つの条件のいずれかを満たす銘柄ほど,この傾向が強いことが検証された.第1に格付けの高い銘柄,第2に引受シンジケート団を構成する幹事社数が少ない銘柄,第3に格付けが高く起債額が小さいか,または格付けが低く起債額が大きい銘柄である.</p>

収録刊行物

  • 現代ファイナンス

    現代ファイナンス 8 (0), 55-83, 2000-09-30

    日本ファイナンス学会 MPTフォーラム

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ