第119回日本耳鼻咽喉科学会総会教育セミナー 甲状腺腫瘍治療の最新情報 : 甲状腺癌の個別化治療

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  • 甲状腺腫瘍治療の最新情報
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  • 甲状腺癌の個別化治療

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<p> 甲状腺分化癌は10年生存率が90%以上と予後は良好で, その治療の中心は外科的切除である. 治療に関しては, 再発リスクや予後予測に基づいた複数のガイドラインが発表されており, 癌の広がりに応じたそれぞれの切除範囲が推奨される. 2018年に改訂予定の甲状腺腫瘍診療ガイドライン第2版では, 乳頭癌を超低リスク, 低リスク, 中リスク, 高リスクと分類 (案) とし, 超低・低リスクには葉 (峡) 切除を, 高リスクには全摘を推奨し, 中リスクに属する症例には幅を持たせ, 予後因子や患者背景を考慮して全摘か葉切除術かを選択するとしている. 治療における大きな変化は, 1cm以下の微小癌に対する非切除・経過観察が推奨され超低リスクとして分類されたこと, また放射性ヨウ素治療不応の遠隔転移, 切除不能局所進行再発に対する分子標的治療が挙げられる. 超低リスク群に対する非切除・経過観察は, 日本より発信されたものである. 前向き介入研究で, 経過観察中の腫瘍の増大やリンパ節転移出現の頻度は低く, たとえ腫瘍の増大やリンパ節転移のため手術が必要となったとしても, 遠隔転移や癌死はなかったとの報告に基づく. また分子標的薬は2014年に本邦でも承認され, 分化癌ではソラフェニブとレンバチニブの2剤が使用可能である. 再発・転移例の QOL の改善や予後の延長が期待できる薬剤であるが, 治療開始のタイミングの見極めと副作用のマネジメントが重要である. また頻度は高くないが, 高リスク群に分類される隣接臓器に浸潤した腫瘍の取り扱いは, いずれのガイドラインにも具体的な取り扱いの指針はなく常に問題とされる. これらは再発・転移が多く予後不良であるばかりでなく, 切除もしくは切除不能とした場合でも嚥下, 構音や呼吸などの機能障害を引き起こす可能性が高い. 甲状腺分化癌は, 超低リスクから高リスクまで選択すべき治療の幅は広い. 症例ごとで腫瘍の広がりや患者背景を考慮したうえで, 最適な治療を選択する必要がある.</p>

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