原発性免疫不全症と造血器腫瘍

  • 金兼 弘和
    東京医科歯科大学大学院 小児地域成育医療学講座
  • 星野 顕宏
    東京医科歯科大学大学院 発生発達病態学分野
  • 高木 正稔
    東京医科歯科大学大学院 発生発達病態学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Primary immunodeficiencies and hematological malignancies
  • ゲンパツセイ メンエキ フゼンショウ ト ゾウケツキ シュヨウ

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抄録

<p>原発性免疫不全症は免疫系の内因的破綻によって生ずる疾患であり,反復,重症または日和見感染といった易感染性を特徴とするが,悪性腫瘍や自己免疫疾患の合併も少なくない。特に獲得免疫系の異常によってそれらのリスクが高まる。原発性免疫不全症における悪性腫瘍の発症メカニズムはさまざまであり,細胞傷害性リンパ球による腫瘍監視機構の欠陥,アポトーシスの異常,発がん性を有する物質に対する高感受性,病原体の排除遅延や炎症の持続活性化,細胞質分裂の異常,ウイルス感染細胞の制御不全,細胞周期の異常,遺伝毒性を有する物質に対する細胞応答の欠陥による。一部の原発性免疫不全症では高頻度に悪性腫瘍を合併するが,一方悪性腫瘍の原因遺伝子として免疫不全症関連遺伝子も報告されている。本稿では原発性免疫不全症と悪性腫瘍,特に造血器腫瘍との関係について解説する。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 59 (11), 2459-2467, 2018

    一般社団法人 日本血液学会

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