マクロ経済と公的年金財政―公的年金積立金運用の視点から―

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  • マクロ ケイザイ ト コウテキ ネンキン ザイセイ : コウテキ ネンキン ツミタテキン ウンヨウ ノ シテン カラ

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抄録

<p>マクロ経済モデルと資産価格モデルを構築し,積立金運用の観点から,公的年金財政の特徴を分析した.長期債利回りには市場参加者の経済予想が反映されるため,長期債利回りと賃金上昇率の聞には安定的な関係は必ずしも期待できない.長期債利回りの設定によって財政の維持可能性の判断が大きく左右されてしまうため,対GDP比でマクロ経済との相対的な関係に注目することが有効である.対GDP比で考えた場合,給付抑制策が景気悪化時には十分に機能しない.これに比べると,収入部分は経済動向の影響を受けにくいと言えるが,基礎年金給付1/2の国庫負担が国家財政に与える影響が心配される.2000年改正による既裁定年金額のスライド方法の変更は,デフレ経済下では給付抑制効果が限定的である.2004年改正によるマクロ経済スライド調整の実施先送りの影響は,これまでのところさほど大きくないが,今後その影響が顕在化していくことが危倶される.</p>

収録刊行物

  • 現代ファイナンス

    現代ファイナンス 32 (0), 55-85, 2012-09-30

    日本ファイナンス学会 MPTフォーラム

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