指端壊疽と著明な心嚢液貯留を伴った Overlap syndrome の1例

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タイトル別名
  • A Case of Overlap Syndrome with Digital Gangrene and Significant Pericardial Effusion

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抄録

膠原病疾患の合併症の1つに心外膜炎があることは広く知られている。我々は全身性強皮症,全身性エリテマトーデス,シェーグレン症候群の overlap syndrome に心外膜炎を合併し,著明な心嚢液貯留をきたした1例を経験したので報告する。60歳代,女性。1990年に近医で全身性エリテマトーデスと診断され,2010年よりレイノー症状が出現していた。2016年5月より手指の腫脹と進行する指端潰瘍が出現し,同年10月当科を紹介受診された。精査の結果,全身性強皮症,全身性エリテマトーデス,シェーグレン症候群の overlap syndrome と診断された。2017年2月に急激な全身浮腫,心嚢液貯留,補体低下を認め,全身性エリテマトーデスの急性増悪による心外膜炎と判断し,ステロイドミニパルスおよび高用量プレドニゾロンを投与し,心内膜炎の症状は軽減したが,指端壊疽は急速に進行した。高容量ステロイドの投与により,全身性エリテマトーデスによる心外膜炎は改善させることが出来たが,同時に全身性強皮症による指端壊疽を悪化させた一因となってしまったと考えられた。overlap syndrome の時には,それぞれの疾患に対しよく病態を考え,個々の症状に対して適切に治療を行わなければならない。(皮膚の科学,17: 173-180, 2018)

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 17 (3), 173-180, 2018

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

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