途上国の自然資源管理における正統性の競合――インドネシア・南スマトラの事例から――

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タイトル別名
  • Competing Legitimacy for Forest Resource Management in a Developing Country: The Case of Marga vs. the Industrial Reforestation Project in South Sumatra, Indonesia
  • トジョウコク ノ シゼン シゲン カンリ ニ オケル セイトウセイ ノ キョウゴウ インドネシア ミナミスマトラ ノ ジレイ カラ

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抄録

<p>本稿は,本誌第11号の特集における三浦の指摘に示唆を得て構想された。本稿では,インドネシア南スマトラ州において,強力な外部のアクターによる資源の囲い込みに対する抵抗として先住者の慣習的な森林管理権の主張が立ち現れた例を示す。ここでは,「環境共生の知恵を持つ先住者 vs 外部の開発資本」という古典的な物語に留まらず,外部のアクターも同様に「環境保全」の知識を武器に森林へのアクセス権を争っている。インドネシアの社会的文脈においては,慣習的な森林・水管理権の正統性の主張は外部の強者に対抗する上でそれなりの効力を有する。しかし,同時にこの主張は,先住性/共同性に基づく資源の独占を意味するから,移住者や被差別者など共同性の中心から遠い者を資源から排除する根拠ともなりうる。これは,私有または国有による独占と先住/共同性に基づく独占という2つの資源の独占形態が対峙した結果でもある。したがって,慣習的な共同管理権の主張が実際に弱者の排除につながるか否かは,個々の問題の歴史・地理的な背景に加えて,各アクター間の具体的な相互作用を明らかする必要があり,その手法として環境問題の政治過程論を提案する。</p>

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