GRACEによる衛星観測データを用いた全球陸域水循環モデルの改良

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  • Improvement of a Global Water Cycle Model In-land using GRACE satellite data

抄録

世界では人口が急激に増加してきており,それに伴い水需要は大幅に増加している.持続可能な水利用のために適切な水資源管理が行われることは必要不可欠であり,その際枯渇が懸念される地下水資源量の変化を推定できることは必要不可欠である.そこで水資源量の解析を行うことができる全球陸域水循環モデルを改良し,地下水資源の持続可能性を考慮可能とすることを目的とする.そのためにGRACEより観測されるTWSをモデルと比較することで,適切な地下水涵養量の設定を試みる.本研究では陸面過程モデルSiBUCと河道流下過程モデルKinematic-waveから構成される全球陸域水循環モデルを用いた.ここで陸面過程モデルSiBUCでは土壌は3層から成っており,第2層(Root zone)から第3層(Recharge zone)へ移動する水(q23)から第3層から流れ出る基底流出(q3)のうち一定の割合(α)が河川へ流出せず地下水涵養量になると仮定した.ただしこの涵養量は暫定的な値であり,水収支の計算には含めずに扱う.本研究ではこの割合の適切な値を求めることが最終的な目標である.<br>モデル入力となる気象強制力にはJRA55の再解析データを用いた.解析期間は2000年から2017年の18年間,解像度は0.5度である.ただし降水量にはGPCCv6とAPHRODITEv1101を用いて補正を施しており,補正を施す前の降水量は過剰であった.モデルにより出力されたTWSはGRACEによる観測値と比較して,乾燥域や氷河や積雪の大きい地域以外では強い正の相関が得られた.したがってこのような地域において解析値と観測値の差の中に地下水によるものが含まれると見ることができる.またTWSの長期トレンドを見る場合,地下水成分の寄与は大きいと考えられるため,これを用いた比較からも適切な涵養量の設定に係る情報を得ることができる.これらの比較を通して陸面過程において地下水涵養量の妥当な値を推定してゆくことが今後の課題である.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713036619904
  • NII論文ID
    130007554041
  • DOI
    10.11520/jshwr.31.0_268
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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