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- 杉江 恒人
- 岩手医科大学歯学部歯科放射線学講座 岩手医科大学医学部放射線医学講座
書誌事項
- タイトル別名
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- Experimental studies on oral radiation death
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説明
<p>マウス頭部, 口腔に大量の放射線照射を行うと, 口腔粘膜障害が生じ, 動物は摂食不能に陥り照射10日目頃に死亡することをQuastlerら8)が見出し, これを放射線口腔死(ORD)と称した。この意見に同調する報告も多い9,10,13)が, 他方別の要因を考慮すべきであるとする説16,24)もあって, ORDの原因に関しては未だ明確にされているとはいえない。</p><p>そこで, この点を明らかにする目的で2,3の実験を試みた。まず, マウスを用い, 頭部・上顎および下顎にそれぞれ170kVpX線を照射し, 体重, 末梢白血球数の推移とLD50/15を比較した。次にORDの原因が飢餓ならば臓器重量体重比は照射死マウスも飢餓死マウスと同値を示すものであろうと考え, 脾を対照臓器として両者を比較した。また, 強制栄養が照射マウスの生存率に好影響を及ぼすか否かを検討し, さらに照射マウスの腸管の吸収不全の有無を131I-HSAを用いて検討した。</p><p>結果:(1)体重, 生存率ともに線量の増加に伴い低下, 減少を示し, LD50/15は, 頭部照射で1650R, 上顎照射で2160R, 下顎照射で2580Rと, 照射容積の大きい頭部照射で低線量であった。また, 末梢白血球数は3群とも照射後に減少した。</p><p>(2)脾重量/体重は, 対照群は0.0098土0.0014, 頭部照射群では, 1500Rで0.0064土0.0021, 3000Rで 0.0034土0.0013, 5000Rで0.0035土0.0016に対し, 飢餓マウスでは0.0013土0.0007と, 対照群, 照射群より有意に低かった。</p><p>(3)強制栄養を行なっても生存率の改善は全く認められず, 131I-HSA排泄試験でも照射マウスでは照射後早期に大量の排泄増加(対照群30.3%, 照射群80~90%)がみられた。</p><p>以上, 体重減少の過程からはORDが飢餓死によるようにみられたが, 上記のその他の実験についての観察結果からはORDは飢餓のほかに, 造血臓器ならびに消化管機能の障害が加わった複雑な要因によるものと考えられた。</p>
収録刊行物
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- 岩手医科大学歯学雑誌
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岩手医科大学歯学雑誌 9 (3), 226-237, 1984-12-15
岩手医科大学歯学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390845713037077632
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- NII論文ID
- 130007552476
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- ISSN
- 24241822
- 03851311
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可