倒立書字・倒立描画を呈した一症例

DOI Web Site 参考文献5件 オープンアクセス
  • 原 有希
    医療法人玉昌会 加治木温泉病院 総合リハビリテーションセンター
  • 衛藤 誠二
    鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 リハビリテーション医学

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Upside-down Writing and Upside-down Drawing

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説明

<p>  左中大脳動脈領域の脳梗塞により, 倒立書字・倒立描画を呈した症例を報告した。症例は基本的な視知覚機能は良好で, 文字・物体・画像の認知も保たれていたが, 向きの判断が困難であった。また, 文字・線画の正立像と倒立像の識別にも困難を示した。「線画」では上下の同定は可能であったが, 「文字」では上下の同定も困難であった。これらの特異的な徴候は, orientation agnosia と一致し発症 6 ヵ月後も残存した。線画と文字に対して外的手がかりを利用した空間定位の練習を 10 ヵ月実施したことによって, 倒立書字・倒立描画が消失した。症例の呈した症状を, 物体中心座標系と観察者中心座標系の視点から考察した。倒立書字・倒立描画は, 障害されている空間座標系の脳内表象に基づいて, 運動を実行することで出現した可能性がある。</p>

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