<i>harṣasthānasahasrāṇi bhayasthānaśatāni ca</i> “Hundreds and Thousands of Occasions for Joy and Fear”: A Study of Stock Phrases in the Indian Great Epic <i>Mahābhārata</i>

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Other Title
  • <i>harṣasthānasahasrāṇi bhayasthānaśatāni ca</i>「幾千幾百の喜びと恐怖の状態」――古代インド叙事詩『マハーバーラタ』における定型句の研究――
  • harsasthanasahasrani bhayasthanasatani ca "Hundreds and Thousands of Occasions for Joy and Fear" : A Study of Stock Phrases in the Indian Great Epic Mahabharata

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<p>本稿では『マハーバーラタ』(MBh)において頻繁に用いられるX-sahasr - ◡ Y -śat-caという定型句を扱う.この定型句は,シュローカ韻律におけるcadenceの韻律的制約に合致しているため有用性が高く,さらにsahasra-śata- の曲用については中性単数具格形(sahasreṇa, śatena)や中性複数主格・対格形(sahasrāṇi, śatāni)などいくつかの選択肢があり,また比較的韻律的制約の緩いopening(X, Y)に四音節をあてはめればよいので,自由度の高い定型表現である.</p><p>MBhにおけるX-sahasr - ◡ Y-śat - ◡ caの用例は,(1)XとYに数詞が用いられる場合,(2)XとYに同一の語・語群が用いられる場合,(3)XとYに異なる語・語群が用いられる場合,という三つの類型に分類できる.本稿では各類型についてMBhにおける用例の特徴と分布を分析し,『ラーマーヤナ』(RA)との比較からその歴史的発展について考察する.(1)についてはMBhの新層および古層両方に用いられ,特に第1巻では各巻の詩節数を述べる場合に頻繁に用いられるが,RAでは一度しか用いられないためMBh特有の表現であると言える.一方(2)は両叙事詩における用例は非常に少ない.MBhでは古層と新層の両方に用いられているのに対して,RAでは新層にのみ用いられていることから,MBhに特有の表現であったものが,RAでも用いられるようになったものと思われる.(3)については,MBhにおける幾つかの用例について,字義通り「幾千のXと幾百のY」と理解した場合に解釈上の問題が生じることがあり,「幾千幾百のXとY」と理解する方がよい場合がある.またこの用例は,MBhとRA双方の古層において使われており,古層段階から両者において共有されていたものである可能性がある.</p>

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