現存する「立田山ヤエクチナシ」の由来および特徴

書誌事項

タイトル別名
  • Provenance and flowering characteristics of surviving “Tatsuda-yama Yae-kuchinashi”, <i>Gardenia jasminoides</i> form. <i>ovalifolia</i>, trees found around Mt. Tatsuda-yama, Kumamoto city, southwestern Japan
  • ゲンソン スル 「 リツデンサン ヤエクチナシ 」 ノ ユライ オヨビ トクチョウ

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抄録

1920~1929年に熊本市の立田山で9個体の八重咲きのクチナシ「ヤエクチナシ」が発見された。この自生地の一部は、1929年に国指定天然記念物「立田山ヤエクチナシ自生地」とされており、現在では森林総合研究所九州支所の立田山実験林に含まれる。戦後、ヤエクチナシは伐採や盗掘等で絶滅したと考えられていたが、1969年に1個体が再発見された。しかし、この個体も数年後に消失した一方で、発見者あるいは発見場所にちなんだ「浅井系」、「西岡系」および「拝聖院系」が生息地(自生地)外で保全されている。今後の遺伝資源保全の観点から、これら3系統について配布先および現状、形態的特徴等を整理するため、聞き取り調査および文献調査を実施した。その結果、いずれの系統も、複数の配布先が確認され、多くのヤエクチナシは立田山周辺に植栽されていた。また、花冠の形状および開花期は、「浅井系」と「西岡系」は類似したが、「拝聖院系」は異なっていた。今後は遺伝解析を実施し、各系統の整理および自生地に生残しているかもしれない個体の探索を進めていくことが重要であることを指摘した。

収録刊行物

  • 森林総合研究所研究報告

    森林総合研究所研究報告 15 (3), 81-90, 2016

    国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所

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