輸入感染症としての成人麻疹対策

  • 笠原 敬
    奈良県立医科大学感染症センター・感染管理室
  • 三笠 桂一
    奈良県立医科大学感染症センター・感染管理室

書誌事項

タイトル別名
  • Prevention and Control Measures for Measles as an Imported Infectious Disease
  • 医学と医療の最前線 輸入感染症としての成人麻疹対策
  • イガク ト イリョウ ノ サイゼンセン ユニュウ カンセンショウ ト シテ ノ セイジン ハシカ タイサク

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抄録

<p>麻疹は麻疹ウイルスにより空気感染する感染症で,基本再生産数(basic reproduction number:R0)は12~18と高い.潜伏期間は10~12日間(最大21日間)で発熱,咽頭痛,鼻汁,咳などで発症し,この時期をカタル期と呼び,2~4日間持続する.カタル期後期に出現する口腔内頬部粘膜の白斑であるKoplik斑は皮疹出現前の早期診断のための重要な所見である.麻疹の合併症としては巨細胞性肺炎,二次性細菌感染症,脳炎や亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE)等があり,致死的な経過をたどることもある.日本では,以前から検出されていた遺伝子型D5型の麻疹ウイルスは2010年5月以降検出されておらず,2015年3月,WHO(World Health Organization)は日本における麻疹排除を認定した.しかし,その後も麻疹に感染した外国人や海外旅行者の国内への持ち込みと小規模のアウトブレイクが散発している.対策としては,発熱や皮疹を有する患者への海外渡航歴の聴取及び感受性者に対する麻疹ワクチンの2回接種が重要である.</p>

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参考文献 (4)*注記

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