当科で経験した石灰沈着性頸長筋腱炎の2例

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  • TWO CASES OF CALCIFIC TENDINITIS OF THE LONGUS COLLI

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抄録

<p> 石灰沈着性頸長筋腱炎は, ハイドロキシアパタイトが頸長筋腱に沈着し, その吸収過程で生じる炎症が原因とされ, 咽頭痛, 嚥下時痛, 頸部痛, 開口障害, 頸部可動制限といった症状が急激に生じる疾患である。 臨床経過や, CT 検査で咽頭後壁に低吸収域を呈することから, 特に咽後膿瘍との鑑別を要する。</p><p></p><p> 今回われわれは, 石灰沈着性頸長筋腱炎の症例を2例経験した。 いずれの症例も臨床症状,所見や画像所見から, 咽後膿瘍も疑われたが, CT 検査で環椎前面に石灰化を認めたこと, 比較的重度な臨床症状と比較し, 血液検査で炎症反応の上昇が軽度に留まること等から石灰沈着性頸長筋腱炎の診断となり, 保存的加療にて治癒に至った。</p><p></p><p> 咽後膿瘍が死に至るケースもある予後不良の疾患であるのに対し, 石灰沈着性頸長筋腱炎は保存的治療にて治癒可能な, 予後良好な疾患である。 侵襲的な処置や, 検査などを回避するためにも, 本疾患を念頭に置いて診療にあたるべきと考えられた。</p>

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