焼畑先住民社会における資源利用制度の正当性をめぐる競合――インドネシア東カリマンタン州・ベシ村の事例――

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タイトル別名
  • The Struggle for New Legitimate Customary Resource Management Rules in an Indigenous Swidden Society: A Case Study of Besiq Village, East Kalimantan, Indonesia
  • ヤキバタ センジュウミン シャカイ ニ オケル シゲン リヨウ セイド ノ セイトウセイ オ メグル キョウゴウ : インドネシア ヒガシカリマンタンシュウ ・ ベシムラ ノ ジレイ

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抄録

<p>インドネシアでは地方分権化・民主化以降,住民参加型・協働型の資源管理政策・事業が重視されるようになってきた。しかし,政策・事業の重要アクターである先住民の社会では資源利用制度をめぐる混乱が生じており,その実態解明が求められる。本稿は東カリマンタン州の焼畑社会において,1)資源利用制度の正当性をめぐる競合と2)新たな制度の普及プロセスを明らかにする。</p><p>村人は「(働きかけや歴史性に基づく)権利意識」「稀少性」「トゥラシの規範(相手の生活を思いやる規範)」を基準に資源利用制度の正当性を判断していた。地方分権化・民主化以降,特定の相続集団の原生的森林地域に対する「(歴史性に基づく)権利意識」と資源・土地の「稀少性」が高まった。そして,その相続集団は,相続集団外の村人の資源利用に対して,従来の自由なアクセスではなく,「アクセス不可」や「条件付きアクセス」を要求するようになった。一方,相続集団外の村人は,原生的森林地域を地方分権化・民主化以前のように「(働きかけに基づく)権利意識」が低く,資源・土地の「稀少性」も低い地域と認識しており,その「アクセス不可」と「条件付きアクセス」に正当性を付与していなかった。しかし,正当性が十分付与されていないにもかかわらず,一部の「条件付きアクセス」は社会に普及しつつあった。その普及のメカニズムは衝突の忌避と互酬行為という文化的要因に基づいていることが明らかになった。</p>

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