日本社会における教育政策への人々の選好に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • Empirical Evidence on Educational Policy Preferences in Japan:
  • 日本社会における教育政策への人々の選好に関する研究 : 公的支出の水準/配分の区別に焦点を当てて
  • ニホン シャカイ ニ オケル キョウイク セイサク エ ノ ヒトビト ノ セン コウ ニ カンスル ケンキュウ : コウテキ シシュツ ノ スイジュン/ハイブン ノ クベツ ニ ショウテン オ アテテ
  • ―公的支出の水準/配分の区別に焦点を当てて―
  • Focusing on the Size and Distribution of Public Spending

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抄録

<p> 本論文では,日本の教育政策に対する人々の選好に関して,公的支出の水準と支出の配分を,それぞれ区別して分析する。これによって,日本の公教育におけるマクロな特徴を支えている,ミクロな意識構造を明らかにする。<br> 2011年に東京都内で行われた質問紙調査をデータとして,(1)税金を増やしてでも教育への公的支出を拡大すべきか,(2)異なる教育段階間ではどこに資源を配分すべきか,(3)同一教育段階内では,エリート的・非エリート的学校のどちらに資源を配分すべきか,という3つの次元を従属変数とする。独立変数としては,人々の持つ利害と,平等性規範が影響するという仮説を立てる。具体的には,性別,年齢,学歴,世帯年収,政党支持,高校生以下の子どもの有無,就業の有無を用いる。<br> 第一に,公的支出の水準に関しては,学歴や世帯収入による選好の違いは見られず,政党支持と高校以下の子どもの有無が影響している。第二に,異なる教育段階間における支出では,高学歴者は低次の教育段階への配分を望み,また左派的な人々は高次の教育段階への配分を望む傾向にある。第三に,同一教育段階内における支出では,高学歴者や富裕な人々はエリート的な教育機関への配分を,また左派的な人々は非エリート的な教育機関への配分を,それぞれ支持している。これらの理論的な示唆として,高等教育への公的支出に伴う逆進性と,意識の次元に見られる社会的な閉鎖性について考察する。</p>

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