ロゴセラピーをコーチングに活かして

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タイトル別名
  • Logotherapy and Coaching
  • ロゴセラピー オ コーチング ニ イカシテ

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抄録

<p>コーチングは日本において2000年頃よりビジネスのためや自己啓発の目的で急速に広まった.医療界においてもコーチング技法を利用した試みがなされ,患者への円滑な対応の研究が進んでいる.コーチングは教え導くという意味合いから始まり,ガルウエイらによって主体性,潜在能力,内面を見つめることなどの提唱がなされ,スポーツ界やビジネス界にも応用され,成果を挙げている.しかし,日本におけるコーチングの応用は,自己啓発や集団的コーチングの流れが主流であり,そのコーチング応用は,ともすると説得や接遇,またはヒエラルキーやマネジメントが色濃くなり,コーチング・ビジネスとして広まる傾向のあることは危惧すべきと感じている.今回は医療におけるコーチングについて臨床応用し,コーチングで使用しているカタカナ用語を日本語表記として臨床応用しているものを紹介する.コーチングの語源は馬車であり「行きたいところへ送り届ける」という意味があり,今ここから未来へ向かう主体的な能力を引き出すことができると考えられている.筆者は,臨床においては過去の出来事についてのこだわりへの対応や未来への行動部分に応用できるものはないかと模索しているところにロゴセラピーに出会った.困難や悩みに自ら立ち向かい,むしろそれをエネルギーに変える逆説的志向や過去へのこだわりについての反省除去をコーチングの技法に応用することによって,希望への可能性に訴えるコーチングとすることができた.一方,フランクルの3つの価値を吟味し,芸術や愛について考え,感じ,芸術を創造し,自然の素晴らしさから生命への希望を生む「創造価値」,困難や逆境を強みに変える「体験価値」,どうしようもない運命であっても,それに対してどんな態度を取るかの「態度価値」をコーチングで問いかけることにより,人生の意味や希望を持つことの応援の出来るコーチングの手ごたえを感じられた.今後,ロゴセラピー・コーチングとしての構築の可能性が示唆されたので報告する.</p>

収録刊行物

  • 全人的医療

    全人的医療 14 (1), 42-49, 2015-12-25

    公益財団法人 国際全人医療研究所

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