亜急性ルーメンアシドーシスの関与が疑われた低乳脂肪症候群多発酪農場の改善事例

  • 藤倉 篤史
    ふくおか県酪農業協同組合 福岡乳牛診療人工授精所
  • 後藤 聡
    ふくおか県酪農業協同組合 福岡乳牛診療人工授精所

書誌事項

タイトル別名
  • A case of improved low milk fat syndrome associated with subacute rumen acidosis
  • アキュウセイ ルーメンアシドーシス ノ カンヨ ガ ウタガワレタ テイニュウシボウ ショウコウグン タハツ ラクノウジョウ ノ カイゼン ジレイ

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説明

<p>  低乳脂肪症候群では,乳脂率の低下が認められるが,臨床徴候を伴わないことが多く,その発見と改善が困難とされている.乳脂率の低下にはさまざまな要因が考えられ,第一胃内発酵環境の変化を伴う栄養的要因の他,品種間差,季節変動等が報告されている.管内一酪農場において,平成28 年度バルク乳中の乳脂率は,夏期に3.20%,冬期に3.35% と低値を示した.さらに平成29 年1 月の牛群検定において,乳脂率3.2% 未満の搾乳牛割合が33% であったことから,当該牛群を低乳脂肪症候群多発牛群と診断した.またバルク乳中の乳糖率は,夏期に変動を認めなかったものの,冬期に上昇を認めた.生産情報における冬期乳糖率の上昇,飼料分析結果における濃厚飼料給与割合の高値,ならびに農場モニタリングでの反芻個体割合の減少および糞便消化性スコア4 以上を示す個体を多数認めたことから,低乳脂肪症候群の要因として亜急性ルーメンアシドーシスの関与を疑い,農場の改善指導を行った.その結果,平成29 年度の夏期のバルク乳中乳脂率は3.60% 以上に改善した.また,改善指導によって牛群検定の個体乳脂率は3.29 ± 0.80%(平均値±標準偏差)から3.73 ± 0.56% に有意(p<0.05)に上昇し,個体乳脂率3.2% 未満の搾乳牛割合は33% から16% に低下した.以上より,生産情報の利用ならびに農場モニタリングの活用は,低乳脂肪症候群多発牛群の管理改善に有用であることが示唆された.</p>

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参考文献 (13)*注記

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