イオン交換基を修飾したジルコニア固定相を用いるイオンクロマトグラフィー

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タイトル別名
  • Ion Chromatography Using a Zirconia Stationary Phase Modified with Ion-exchange Functionality
  • イオン コウカンキ オ シュウショク シタ ジルコニア コテイソウ オ モチイル イオンクロマトグラフィー

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抄録

<p>近年,著者らは新たなイオンクロマトグラフィー(IC)用固定相を創出するため,耐薬性及び耐熱性に優れたジルコニア(ZrO2)を固定相に用いたイオン分離の研究を行っている.今回は,ジルコニア充填カラムにリン酸,α-ヒドロキシ酸(クエン酸)及びジアリルアミン─マレイン酸共重合体(DAM)をそれぞれ修飾し,無機イオンの保持挙動を調べた結果を紹介する.未修飾のジルコニアそのものはpH 6〜7に等吸着点を有しており,酸性では陰イオンを,塩基性では陽イオンを保持できる性質を持っており,フッ化物イオンに対してジルコニアに結合している水酸基あるいはジルコニアに配位しているH2Oとの配位子交換に基づき選択的に分離できる.一方,ジルコニアに対し親和性の高いリン酸とα-ヒドロキシ酸であるクエン酸を修飾すると,酸性溶離条件で陽イオン交換基として機能し,一方,両イオン性のDAMをジルコニアに修飾した固定相では,酸性溶離条件において分子内のアミノ基が陰イオン交換基として機能することが分かった.現段階では,ジルコニア固定相を用いるイオン分離は,理論段や分離能の点で従来のシリカゲル及びポリマー担体のイオン交換固定相よりも劣るものの,未修飾の状態でもフッ化物イオンを選択的に分離できること,リン酸や有機化合物を修飾させることでイオン交換体として機能させることができること,修飾カラムではより高温条件(80℃)で安定な保持が得られることを見いだした.</p>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 68 (4), 241-251, 2019-04-05

    公益社団法人 日本分析化学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (2)*注記

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