戦後日本の公務員制度における職階制――制度に埋め込まれた(反)調整原理――

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  • Position-Classification System in the Civil Service System in Post War JAPAN : (Anti-) Coordination Mechanism Imbedded the Civil Service System
  • センゴ ニホン ノ コウムイン セイド ニ オケル ショッカイセイ セイド ニ ウメコマレタ ハン チョウセイ ゲンリ

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抄録

<p>戦後日木の公務員制度は,職階制の導人を「官職の基準」として位置づけ,国家公務員法・職階法などを制定しながら,しかし,職階制は実施されないまま,今日にまで至っているとされている。現実には,職階制の未実施に代わるものとして,給与法が制定され,それに基づいて,職務分類がなされている。さらに,職階制は未実施とはいいながら,実は潜在的機能が存在する。そして,公務員制度は職階制の潜在的機能を前提に組み立てられているため,公務員制度の「抜本的改革」のためには,職階制をどのように処理するのかが問われざるをえない。</p><p>戦後日本の職階制には,少なくとも,①制度構築の「基準」機能,②人事権の配分機能,③課題設定・自己反省機能,の3つの機能が観察できる。「抜本的改革」における職階制の廃止は,これらの機能の喪失を意味する。職階制を廃止する場合には,あるいは,職階制を能力等級制に置換する場合には,職階制とともに喪失される機能が,どのように処理されるかが重要な論点である。そして,2001年以降に試みられた公務員制度の「抜本的改革」の運動が「挫折」した内在的要因は,この職階制の機能の処理に関する調整がつかなかったことにある。そのため,論理的に説得力のある新制度を構築することができなかったからである。</p>

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