高田平野における第四紀後期の地形発達

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  • Late Quaternary landform development of the Takada Plain, central Japan.

抄録

1 はじめに<br>新潟県西部に位置する高田平野には,数段の河成・海成段丘群が分布しているが,その形成年代に関しては,統一的な見解が得られていない.また,平野内部の堆積物の分布については,沖積層基底礫層の高度が明らかになっているものの,沖積層より下位および縄文海進時の分布域などの詳細については,明らかになっていない.本研究では,段丘面の層序や形成年代を再検討し,平野内の堆積物の分布とも比較検討することで,氷期―間氷期サイクルの海面変動や地殻変動に関連し形成された後期更新世以降の本地域の地形発達を明らかにすることを目的とする.<br>2 研究方法<br> 空中写真判読と既存文献資料を用いて,段丘面を区分・対比し,現地調査において,段丘構成層・被覆層の観察を行い,テフラ試料を採取した.平野部においては,ボーリングデータを用い,縄文海進時(MIS1),MIS2,MIS5e,MIS6の堆積物を把握し,その分布高度を明らかにした.<br>3 段丘面の対比・編年<br> 本地域に分布する段丘面を,分布高度や段丘構成層から6面に区分した.HⅡ面は,岩木において,段丘構成層最上部から下位に約10cmの箇所より,Iz-KTc(125-150ka)が産出し,風化の進んだくさり礫も多数産出することから,MIS6に対比される.M面は,吉川において段丘構成層より上位の風成層中に明瞭な火山ガラス・β石英からなるK-Tz(95ka)層準が認められる.その下位には軽石を多数ふくむことから,Mk-HB(120-130ka)と考えられる層が確認されるため,MIS5eに対比される.<br>4 堆積物の分布範囲と上限高度<br> 平野部に分布する堆積物を上下関係や層相から区分・追跡し,分布範囲と上限高度を明らかにした.MIS6堆積物は,主に礫径30mm以下の亜円礫からなり,下部に従い礫径が大きくなる傾向があり,上限高度はおよそ-100mである.MIS5e堆積物は,シルト層や細砂層,およびその互層からなり,N値はおおむね20以下である.北陸新幹線上越妙高駅付近まで分布が認められ,上限高度はおよそ-90mである.また,M面構成層からも確認されることから,高田平野西縁断層帯による変位をうけていると考えられる.MIS2堆積物は,最大礫径が50mmを超えるような亜鉛礫からなる.最深部が新堀川左岸付近にあり,上限高度はおよそ-60mである.MIS1極層期の堆積物は,シルト,砂,粘土層およびその互層からなり,N値はおおむね10以下である.妙高市新井駅付近まで分布が認められ,上限高度はおよそ-10mである.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713071999488
  • NII論文ID
    130007628509
  • DOI
    10.14866/ajg.2019s.0_277
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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