インドネシア・ジャカルタにおけるモンスーン降水長期変動

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  • Long-term variations of monsoon rainfall over Jakarta, Indonesia

抄録

海大陸と呼ばれるインドネシア域は、複雑地形を持つ大小様々な島嶼が、暖かい海水に囲まれ、熱帯の活発な対流活動域の一つとして、ENSOやアジア・オーストラリアモンスーン域の中心に位置している。<br><br> 現地の気象観測は、オランダ統治下の19世紀中盤には始まり、ジャカルタ(当時のバタビア)において、1866年に気象官署が設置され、途中1999年に観測点の移動があったものの、長期間の雨量観測が継続されてきている。得られたデータは、紙媒体からのデジタル化、及び品質管理を通して、データベース化され(例えば、SACA&D:Southeast Asian Climate Assessment & Datasetなど)、近年、これらのデータを基に、降水極端現象の長期変動等について研究が進展しつつある(Siswanto et al., 2015; Marjuki et al., 2016; Supari, 2016など)。<br><br> 本研究は、データが最も長期間得られ、沿岸域のメガシティとして広域首都圏を形成するジャカルタに焦点をあて、モンスーンに伴う降水の長期変動の特徴、及びENSO/PDO (Pacific Decadal Oscillation)との関連を明らかにすることを目的とする。<br><br> ジャカルタの過去150年間(1864年~2014年)の降水量変動からは、1970年代前半の極大を含め、数十年規模の変動が確認できる一方、長期的なトレンドは見られなかった。また、雨季(DJF)と乾季(JJA)の降水量差(年降水量較差)は、雨季の降水量により規定され、年降水量と同様な長期変動を示している。<br><br> また、雨季の降水量とENSO(SO Index)の相関は経年変動し、有意な正相関が、PDOの cool phase に当たる1910年代、及び1960年代のみに現われた。一般にジャカルタ周辺では、ENSOと雨季の降水量の相関が低いことが知られているが(Hamada, et al., 2012他)、長期間のデータより、PDOの位相によりENSOの影響の差異が存在することを示した。今後、複数地点で同様の解析を行い、地理的代表性の検討を進める。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713072779520
  • NII論文ID
    130007628576
  • DOI
    10.14866/ajg.2019s.0_221
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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