<b>治水地形分類図からみた2016年8月北海道豪雨災害 (その4) </b>

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タイトル別名
  • <b>An interpretation of Hokkaido heavy rain disaster in August 2016 based on Landform Classification Map for Flood Control:Part 4</b>
  • <b>Damage situation of the Tokoro River system</b>
  • <b>常呂川水系の被害状況</b>

抄録

1.常呂川水系の被害状況と治水地形分類<br> 常呂川水系では,8月17日から23日における台風7号,9号,11号の相次ぐ通過に伴って,記録的な大雨となった.この大雨により,常呂川水系下流域の太茶苗観測所および上川沿観測所では, 計画高水位を超える観測史上第一位の水位を記録した.<br> これにより,北見市常呂町の太幌橋から北見市端野町の忠志橋にかけての常呂川下流区間では,合流する支川も含め堤防の越流や漏水,破堤が集中し,農地が広範囲に浸水した.また,常呂川水系上流域支川の無加川では,北見市留辺蘂町温根湯温泉周辺などで溢水や橋梁背面盛土の流出による被害が生じた.<br> 筆者らは,北海道開発局や土木学会調査団の調査結果(図-1)から被害状況を把握するとともに,2017年4月及び7月に常呂川下流域について現地調査を実施し,調査結果を治水地形分類図(更新版)「卯原内」「浜佐呂間」「日吉」上に展開(図-2)して被害箇所の特性を検討した.<br><br>2.常呂川水系の被害の特性<br> 常呂川水系下流域では,支川である東亜川や柴山沢川の堤防の破堤や,常呂川沿いにおいては堤防の越流浸食,堤防直近の堤内地で噴砂・空気湧出などの被害が多数見られた.<br> これらの地点の地形を治水地形分類図(更新版)により確認すると,噴砂や空気湧出が発生した箇所の多くは旧河道に位置することが読み取れる.旧河道では河床を構成していた砂礫の上にシルト質の堆積物が分布していることが多く,砂礫質の層が透水層(通気層)となっていたと考えられる.<br> また,東亜川の破堤箇所は後背湿地上に位置していたことから,常呂川の水位上昇により合流できなくなり溢水したものと考えられる.さらに,柴山沢川の破堤箇所は小規模な扇状地から低平な氾濫平野へ流出する地点にあたり,本川の水位が上昇して支川に逆流したところに流速の早い濁流が流れ込んだために破堤したと考えられる.<br> その他の越流地点も河道の屈曲部や旧河道部といった流水が集まりやすい箇所に該当しているところが多い.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713072781056
  • NII論文ID
    130007628610
  • DOI
    10.14866/ajg.2019s.0_31
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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