使用済Ca系ヒ素吸着材の環境安定性に及ぼすケイ酸の影響

  • 杉田 創
    国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門
  • 小熊 輝美
    国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門
  • 張 銘
    国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門
  • 原 淳子
    国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門
  • 川辺 能成
    国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • EFFECTS OF SILICIC ACID ON ENVIRONMENTAL STABILITY OF SPENT CALCIUM-BASED ARSENIC ADSORBENTS
  • シヨウズミ Caケイ ヒソ キュウチャクザイ ノ カンキョウ アンテイセイ ニ オヨボス ケイサン ノ エイキョウ

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抄録

ヒ素吸着材のひとつとしてカルシウム系吸着材が期待されているが,汚染水中のヒ素を除去した吸着材は,それ自体が多量のヒ素を含有するため,適切な処理を行わずに環境中に廃棄された場合,ヒ素溶出による二次的な環境汚染を引き起こす懸念がある.本研究では,土壌やセメント系固化材等から溶出する可能性のあるケイ酸成分が使用済Ca系吸着材の環境安定性に及ぼす影響を評価するために,ケイ酸溶液を用いた振とう試験を実施した.その結果,CaO及びCa(OH)2を母材とした使用済Ca系吸着材では,試験溶液に含まれるケイ酸の初期濃度が高いほどヒ素の溶出率が低下することが明らかになった.これは,ケイ酸成分が使用済吸着材から溶出したカルシウム成分と反応してケイ酸カルシウム種を生成する際に,使用済吸着材から溶出したヒ酸成分を取り込むためと考えられた.また,生成したケイ酸カルシウムの平均化学組成は,試験溶液の初期Si濃度によって異なり,25 mg/L付近ではCa2SiO4,50~100 mg/LではCaSiO3が推測された.一方,初期Si濃度が比較的低い場合(約5 mg/L)では,使用済吸着材表層へケイ酸成分がイオン交換反応あるいは化学吸着反応によって直接的に吸着する反応が優勢であると推察された.

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