<b>A study on environmental words to appear in the junior high school song in the Kitakami river basin</b>

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  • <b>北上川流域の中学校校歌でうたわれる環境要素に関する研究</b>

Description

Ⅰ はじめに<br> 中学校校歌は、地域を象徴する「山」「川」「海」などの視覚的にイメージしやすい環境要素を盛り込んで作詞されているものが多い。校歌詞でうたわれる「山」に注目した研究や、研究対象を各行政区における学校の校歌を考察した研究が多くみられるなかで、河川流域界を対象地域とする研究は極めて少ない。本研究では、北上川水系流域に所在する中学校を対象に、校歌に出現する環境要素を抽出したうえで、流域内の地域ごとに歌詞表現のうたわれかたの差異を明らかにした。<br><br>Ⅱ 研究方法<br> 北上川水系流域に所在する中学校の校歌(134校分)を網羅的に収集し、校歌詞に出現する環境要素に関する語句を抽出したうえで、各環境要素の出現数と出現率を算出した。中学校の所在地を北上川本流域・支流域別および上流部・中流部・下流部に分割し、各地域の中学校校歌でうたわれる「川」「湖沼」「海」「山」「動物」「色」「自然」などの歌詞について、各要素の出現数と出現率の地域差を検討した。<br><br>Ⅲ 結果・考察<br> 1.校歌でうたわれる環境要素の出現傾向<br> 対象の中学校校歌に出現する「川」「海」「山」を示す語句の出現頻度は、「山」の出現率が最も高く、「山」が地域の象徴的な視覚に訴えやすい自然景観であるという先行研究の指摘と同様の結果となった。雄物川流域に所在する中学校の校歌では、上流部へいくほど「川」がうたわれる割合が高くなることを指摘した(佐々木:2007)ことに対して、北上川本流域に所在する中学校の校歌は、上流部よりも中流部や下流部に所在する中学校校歌のほうが高い割合で「川」がうたわれており、雄物川流域と北上川流域では、上流部に所在する中学校校歌でうたわれる「川」の出現率に差異が認められた。<br> 2.北上川流域の中学校校歌と「川」<br> 「川」に関する歌詞は、18の河川名が抽出され、一番多くうたわれている「北上川」の50例をはじめとして、「迫川」「磐井川」「和賀川」「猿ヶ石川」「江合川」などの北上川水系の支流が抽出された。 校歌でうたわれている「川」の出現数(出現率)は、北上川本流域の中学校校歌で111校中77例(69.3%)、北上川支流域の中学校校歌で23校中15例(65.2%)であり、北上川本流域と北上川支流域の中学校校歌でうたわれる「川」の出現数には差異があるものの、出現率は大きな差異がみられない。「北上川」がうたわれている校歌は、北上川本川流域に所在する中学校だけに限定されており、北上川支流域に所在する中学校の校歌では「北上川」がうたわれる例が一例もみられず、北上川支流や北上川水系以外の河川名がうたわれている。学校の所在地から身近にある本流および支流が、校歌にうたわれる傾向があることが明らかとなった。<br> 3.北上川流域の中学校校歌と「山」<br> 校歌に「山」がうたわれている校数は119校(88.8%)、「山」に関する歌詞の出現数が134校中136例(101.55%)であり、一校の校歌詞のなかに複数の「山」がうたわれている例もみられる。学校から見た岩手山山頂の角度は、仰角4.0°~5.9°に位置する中学校が12校、仰角6.0°~7.9°に位置する中学校が10校であり、主に仰角5.5°~6.5°に位置する中学校が多く分布している。<br> 4.廃校の校歌との比較<br> 北上川水系流域圏の岩手県内の廃校となった50校の中学校校歌でうたわれている「山」「川」を抽出したところ、現在の中学校校歌ではうたわれていない環境要素は、「山」の歌詞表現が12種類(12校中)、「川」の歌詞表現が6種類(9校中)を数える。<br><br>Ⅳ おわりに<br> 北上川流域における中学校の校歌に出現する環境要素は、本流域と支流域別、上・中・下流部別で比較した場合に、出現傾向の差異が明らかとなった。今後は、廃校となった小・中学校の校歌を網羅的に収集・分析し、廃校となった校歌詞と現在うたわれている校歌詞に出現する環境要素について比較検討することを研究課題としたい。<br><br>参 考 文 献<br>朝倉隆太郎(1999):「山と校歌―中学校校歌でうたわれている山地」二宮書店,pp41-60.<br>佐々木力(2007):秋田県雄物川本流域における小中高等学校歌詞に表現されている環境要素, 秋大地理, 54, pp11--14.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390845713074392832
  • NII Article ID
    130007628487
  • DOI
    10.14866/ajg.2019s.0_166
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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