O-017 心臓外科術後の反回神経麻痺が呼吸機能に及ぼす影響について

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抄録

<p>【目的】</p><p>心臓外科術後患者の呼吸機能は胸郭可動性低下や胸水,Deconditioning などの影響から,術前と比較して低下することが知られている.また,術後患者に生じうる合併症の一つとして反回神経麻痺があり,反回神経麻痺を発症した場合には,声帯の可動性低下に伴う気道の狭小化により,さらに呼吸機能は低下すると考えられる.しかしながら,反回神経麻痺の発症の有無に着目して術後の呼吸機能を比較検討した報告は少なく,詳細は明らかにされていない.そこで本研究では,反回神経麻痺の発症が術後患者の呼吸機能の低下に関与しているかどうかを明らかにすることを目的とした.</p><p>【対象と方法】</p><p>予定手術にて心臓外科術を施行した患者12 例(65.7± 6.9 歳,冠動脈バイパス術:1例,弁置換・形成術:8 例,人工血管置換術:3 例)を対象とした.除外基準は術前に呼吸器疾患を有するものとした.反回神経麻痺の診断を受けた対象者を反回神経麻痺群,それ以外の対象者を対照群に群分けした.調査ならびに測定項目は患者背景因子,手術情報(手術時間,挿管時間,出血量,人工心肺使用時間),肺機能検査{努力性肺活量(FVC),一秒量(FEV1.0),一秒率(%FEV1)}とした.測定時期は術前と病棟内歩行が自立した時点で行った.肺機能に関しては術前に対する術後の割合(術前比)を算出した.統計は二群間の差を検討するためにMann-Whitney U test を用い,有意水準は5%とした.本研究の趣旨を口頭にて説明し,回答をもって同意を得たこととした.</p><p>【結果】</p><p>反回神経麻痺群は4 例,対象群は8 例であった.FVC 術前比(%)は対照群(64.7± 5.9)と比較して反回神経麻痺群(58.4</p><p>±4.0)は有意に低値であった(p <0.05)が,その他の項目では有意差を認めなかった.【結論】</p><p>反回神経麻痺群のFVC 術前比は対照群と比較して有意に低値であったことから,反回神経麻痺の発症は呼吸機能の中でもFVC の低下に関与している可能性が示唆された.</p>

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  • CRID
    1390845713074895744
  • NII論文ID
    130007623589
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.36.0_17
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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