内側前腕皮神経と尺骨神経の脱臼が観察された有痛性弾発肘の1例

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  • Dislocation of the Medial Antebrachial Cutaneous Nerve and the Ulnar Nerve in Painful Snapping Elbow

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説明

<p> 尺骨神経や上腕三頭筋内側頭の脱臼を伴う有痛性弾発肘の報告は散見されるが,内側前腕皮神経の弾発の報告はまれである.症例は,右利きの26歳男性.2年前,地区野球で投球中に突然右肘内側痛を自覚し,その後も投球毎に疼痛を伴う弾発現象が生じるも,数週で軽減していた.初診時,右肘関節可動域制限,圧痛・Tinel様徴候,尺骨神経症状はなく,肘屈曲90°程度で尺骨神経は内側上顆前方へ脱臼するも,上腕三頭筋内側頭は膨隆するのみであった.尺骨神経脱臼に伴う有痛性弾発肘との診断で,観血的手術を行った.肘内側皮下を剥離し他動屈曲すると,尺骨神経の脱臼に先んじて内側前腕皮神経後枝が内側上顆前方へ弾発するのが観察された.両神経を皮下前方移動し,術後3か月で地区野球に復帰した.内側前腕皮神経の弾発現象は,2015年にCesmebasiらの4例報告があるのみで,まれではあるが有痛性弾発肘の原因のひとつに挙げられる.</p>

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