P-159 外在的フィードバックにより歩行を再獲得した症例

DOI

抄録

<p>【はじめに】</p><p>右被殻出血により左上下肢の運動麻痺,重度感覚障害を呈した影響により,歩行の左立脚期において頚部・体幹の過剰な右側屈が認められた。視覚や聴覚情報などの外在的フィードバック( 以下:FB) に着目し治療を行った結果,歩行を再獲得したと考えたため,ここに報告する。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本発表の趣旨及び目的を本人に説明し,了承を得た。</p><p>【症例紹介】</p><p>本症例は,右被殻出血により2 病日に開頭血腫除去術を施行された41 歳男性である。3 病日より理学療法を開始した。12</p><p>病日でBrunnstrom stage( 以下:BRS) 下肢III,感覚は下肢表在覚2 ~3/10,深部覚0 ~2/5 で共に重度鈍麻であった。歩行は長下肢装具を用いて重介助であった。左立脚期においては,頚部・体幹の右側屈,左股関節外転,外旋位を呈しており,左下肢への十分な荷重が得られていなかった。</p><p>【介入方法】</p><p>現在の動きと目標とする動きを視覚, 聴覚情報を用いて説明し,必要に応じて模倣と口頭指示を与えた。その際,患者自身がアライメント異常を自覚し,自己で修正が行える様に姿勢鏡を利用した。</p><p>【結果】</p><p>最終評価は45 病日に行った。BRS 下肢IV に改善した。感覚は下肢表在覚2 ~4/10,深部覚0 ~2/5 で著明な改善は認められなかった。左立脚期の頚部・体幹の右側屈,左股関節外転・外旋位は改善し,荷重が得られるようになった。その結果,短下肢装具とT ‐cane を用いた屋内見守り歩行が可能になった。</p><p>【考察】</p><p>体性感覚が障害されたことで,内在的FB によるパフォーマンスエラーの検出が困難となり,支持基底面や重心位置の変化に合わせた姿勢を作り出せなくなっていると考えた。そのため,外在的FB を繰り返し与え,立位アライメントを修正した。その結果,感覚障害の改善には至らなかったが,左下肢への荷重,重心移動を学習し,歩行の再獲得に繋がったと考える。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713076124032
  • NII論文ID
    130007623629
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.36.0_259
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ