大学生におけるストレスとコーピング

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タイトル別名
  • Stress and Coping in Undergraduate
  • ダイガクセイ ニ オケル ストレス ト コーピング

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抄録

近年,大学生における適応障害の増加が指摘されている.自己不確実感や不全感を抱え,学業に意欲を持てず無気力状態となる,友人ができない,教員ともうまくコミュニケーションがとれない,学内での居場所を見つけられないなどの問題を抱えた学生である.こうした学生にたいして,まずかれらの大学生活への適応の状態を的確に捉え,それぞれの問題に対処するための指導方法を考えていく必要性が高まってきている.こうした問題意識を背景として,前稿(山田・天野,2002)では,自画像を用いて大学生の適応性の検討を行い一定の妥当性が示された.しかし,妥当性をさらに高めるためには,実際の生活行動を反映する客観的な適応性の指標を設定し,これらと自画像との関連性を検証していく必要がある.そこで,本稿では,ストレスとそれへの対処(コーピング)を適応性の指標として取り上げ,大学・短大生を対象として,ストレスとコーピング,および生活意識に関わる調査を実施した結果について検討した.その結果,次のようなことが明らかになった.まず,平均的なストレスレベルの分布から見てストレスのレベルは全体的に高く、特に短大女子でその傾向が著しい.背景となるストレッサーについては大学生活に直接関連するものばかりでなく,生活領域全般に渡っているが,特に短大女子では課題の多さが主要なストレッサーになっている.また,コーピングについては,ストレスの程度が高い短大女子群がコーピングを最も頻繁に行っている.ストレスレベルとコーピングの関連性についてはさらに検討を要するが,少なくとも,積極的なコーピングを行っているためにストレスレベルが低くなるという結果とはなっていない.

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