コーヒー豆かすによる飲料水中の鉛イオンの除去能の評価と吸着制御因子の解明
書誌事項
- タイトル別名
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- Elucidation of adsorption control factor and removal ability of lead ion by coffee grounds in drinking water
説明
<p>【目的】日本における水道水中の鉛イオンは,水道管が主原因である。水道局の調査では,配管・給水管のすべてに鉛管が用いられている場合,鉛イオン濃度は24時間後に1.65mg/Lになったと報告している。鉛イオンは,脳炎や腎障害を起こし,特に子供の知能低下を引き起こす。これまでに,種々の吸着剤による鉛イオンの除去に関する報告を行ってきたが,本研究では,廃棄物の有効利用と開発途上国での適用を目指し,コーヒー豆かすによる鉛イオンの除去性能を明らかにするため,起源や産地の異なるコーヒー豆かすを用いて検討した。</p><p>【方法】鉛イオンの吸着実験は,異なる濃度の鉛イオン溶液中に,吸着剤0.01g添加し,24時間後の鉛イオン濃度を測定し,初濃度と平衡濃度との差から吸着量を算出した。コーヒー豆かすは産地や起源の異なる5種類を用いた。なお,コーヒー豆かすを脱脂処理,煮沸処理,除タンパク質処理,1もしくは5%過塩素酸処理したコーヒー豆かすによる鉛イオン除去率を測定した。なお,鉛イオン濃度は,走査型鉛測定器(HACH社製)を用いて測定した。</p><p>【結果・考察】鉛イオンの吸着量は,産地や起源により違いが認められなかった。コーヒー豆かすの成分中で,鉛イオンの除去に寄与している成分を明らかにするため,コーヒー豆かすを脱脂処理,煮沸処理,除タンパク質処理,1または5%過塩素酸処理した吸着剤による鉛イオン除去率を測定した。その結果,除タンパク質処理により除去率がほぼゼロとなり,また過塩素酸の濃度を高くすることで,鉛イオンの除去率が低くなったことから,コーヒー豆かす中のタンパク質が鉛イオンの除去に関与していることがわかった。以上の結果より,食品廃棄物としてのコーヒー豆かすは,水道水中の鉛イオンを高効率除去でき,循環型社会の構築ならびに安全な飲料水の供給に寄与できる素材となりうることが明らかになった。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 46.1 (0), P-3S-, 2019
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390845713082500224
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- NII論文ID
- 130007677428
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可