PXB細胞由来3次元スフェロイドを用いた長期肝毒性評価系の構築

DOI
  • 宮本 一政
    武田薬品工業株式会社リサーチ薬剤安全性研究所
  • 小原 洋志
    武田薬品工業株式会社リサーチ薬剤安全性研究所
  • 篠澤 忠紘
    武田薬品工業株式会社リサーチ薬剤安全性研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Development of Long-term DILI assay with 3D spheroid of PXB cells

抄録

<p>薬剤性肝障害(Drug induced liver injury, DILI)の評価系として、従来の単層培養系に比べ生体肝臓を模倣し長期評価が可能である3次元(3D)スフェロイドを用いたアッセイ系が近年注目されている。3Dスフェロイドの作製にはヒト初代凍結肝細胞を用いることが多いが、安定した品質の細胞を継続的に入手することは難しい。そこで本研究では化合物の早期の安全性プロファイリングに使用することを目的とし、マウスキメラヒト肝細胞(PXB細胞)を用いた3Dスフェロイドアッセイ系(LT-DILI系)の構築を試みた。同スフェロイドにはヒト凍結非実質肝細胞(NPC)が混合されている。ヒト初代凍結肝細胞を用いて構築された3Dスフェロイド(Proctor et. al., 2017. 以下InSphero法)と比較するため、109個の化合物セットにおける反応性を調べた。3Dスフェロイドに化合物を2週間暴露しATP活性を測定したところ、IC50値100μM以下を基準としたLT-DILI系の特異度は77.8%であり、感度は57.4%であった。InSphero法の同基準での特異度・感度はそれぞれ85.4%および60.9%であったため、両アッセイの特異度・感度はほぼ同等と考えられた。一方、ヒトへの暴露量(Cmax)を考慮したIC50/Cmax値50倍以下を基準としたLT-DILI系の特異度・感度はそれぞれ82.9%および58.8%であり、InSphero論文の同基準での感度(52.2%)に比べ高い感度を示した。さらに、NPCを含まない3Dスフェロイドの有用性を評価したところ、IC50値での特異度・感度は77.8%および54.4%であり、PXB細胞を用いた場合、NPCを混合することの効果が減弱されることが示唆された。本評価系の感度の向上を目指し、High content analysis (HCA)評価への応用性を検討したところ、Amiodaroneなど5つのDILI化合物処理によりLysosome染色強度の有意な変化が認められた。以上、LT-DILI系は早期の肝毒性評価において十分な予測性を示すことができる評価系と考えられ、必ずしもNPCの混合が必要ではないことが示された。今後、感度の向上のためにHCA評価を組み合わせることが有用であることが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713082769024
  • NII論文ID
    130007677494
  • DOI
    10.14869/toxpt.46.1.0_p-239
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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