ヒ素の毒性を規定するスプライシング因子の同定
書誌事項
- タイトル別名
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- Identification of splicing factors regulating the arsenic toxicity
抄録
<p>【背景】無機ヒ素は、ヒ素メチル基転移酵素(AS3MT)によってメチル化されることで排泄される。DNAから転写された未成熟なmRNAはスプライシングにより成熟したmRNAとなる。意図的な選択的スプライシングにより多様なmRNAが産生される一方で、非意図的な選択的スプライシングが誘発されてしまうと、不完全長なmRNA、タンパク質の産生を促してしまう。当研究室では、HepG2細胞を用いた検討により、AS3MT mRNAが選択的スプライシングを受けていることを見い出している。これらの背景から本研究では、(1)ヒ素の毒性にスプライシングが関与するか、(2)HepG2以外の細胞におけるAS3MT mRNAのスプライシングについて、の2点について検討した。</p><p>【方法】細胞:HepG2、HaCaT、HL-60、NB4、K562細胞。スプライシングの検出:One-Step RT-PCR Kitを用いた。タンパク質量:western blot法で検出した。siRNA導入:リポフェクション法で導入した。細胞毒性:alamarBlue試薬を添加後、マイクロプレートリーダーで測定した。</p><p>【結果】当研究室では、AS3MTのスプライシングにSRSF5の関与の可能性を見出している。そこで、SRSF5によるスプライシングの調節が、ヒ素の毒性に関わるかについて検討を進めた。siRNAを用いSRSF5を減少させたHaCaT細胞の亜ヒ酸に対する細胞毒性を測定したところ、SRSF5を減少させた細胞では亜ヒ酸に対する感受性が上昇していた。本結果から、SRSF5がヒ素の毒性を規定する因子であることが示唆された。次に、HepG2以外の細胞として白血病細胞由来のHL-60, NB4, K562細胞でのAS3MT mRNAを検討した。その結果、野生型のAS3MT mRNAはどの細胞においても存在するが、その量はHepG2細胞に比べて低いことがわかった。さらに、白血病由来の細胞では、野生型と同程度の発現量を持ったスプライシングバリアントが存在することが明らかとなった。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 46.1 (0), P-198-, 2019
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390845713083287808
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- NII論文ID
- 130007677374
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可