ゲノム医療時代における「知らないでいる権利」

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タイトル別名
  • “The Right Not to Know” in the Era of Genomic Medicine
  • ゲノム イリョウ ジダイ ニ オケル 「 シラナイ デ イル ケンリ 」

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抄録

<p>本稿は、遺伝情報を「知らないでいる権利」 (the right not to know)を尊重すべきという規範に関して、文献調査をもとに、この規範が成立した経緯並びにゲノム医学の技術革新を経た変遷について整理し、現代的な意義を再考することを目的とする。1990年代に遺伝性疾患の患者・家族の主張から確立した概念は、その論点を2000年代半ば以降、次世代シーケンサー (NGS)を用いた網羅的ゲノム解析によって生じた偶発的/二次的所見(IFs/SFs)の返却をめぐる研究者・医師の責務へとシフトさせた。2010年代を境に、actionability(対処可能性)を根拠に、患者・家族が積極的にリスクを「知る」ことを推奨する流れが加速している。国内でもゲノム医療が普及し、遺伝性疾患の家族歴がなくとも、誰もがあらゆる病気のリスクに直面する時代の中で、「知らないでいる権利」の行使を保障する方法の再検討が必要とされる。</p>

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