2型糖尿病患者の筋力および筋肉の質における身体機能を含む患者背景についての検討

DOI
  • 海鋒 有希子
    聖マリアンナ医科大学東横病院 リハビリテーション室
  • 八木 麻衣子
    聖マリアンナ医科大学東横病院 リハビリテーション室
  • 石山 大介
    聖マリアンナ医科大学東横病院 リハビリテーション室
  • 渡邉 紗都
    聖マリアンナ医科大学東横病院 リハビリテーション室
  • 赤尾 圭吾
    聖マリアンナ医科大学東横病院 リハビリテーション室
  • 桑村 雄偉
    聖マリアンナ医科大学東横病院 リハビリテーション室
  • 大森 慎太郎
    聖マリアンナ医科大学東横病院 代謝・内分泌内科
  • 太田 明雄
    聖マリアンナ医科大学東横病院 代謝・内分泌内科

抄録

<p>【背景・目的】糖尿病(DM)患者では,下肢筋量は維持されるが,下肢筋力が低下した症例を多く経験する.近年,神経・筋レベルの機能を示す指標として筋肉の質(MQ)が重要視され,DM患者での低下が指摘されているが,患者背景や身体機能との関連は明らかでない.本研究は,2型DM患者において,筋力とMQ各々での維持群と低下群を比較し,基本属性や身体機能への影響の違いを検討した.</p><p> </p><p>【方法】研究デザインは横断研究とした.対象は,2015年4月1日~2017年12月31日に,運動療法指導の指示があった入院・外来2型DM患者のうち、認知症,中枢性麻痺,重度骨関節疾患がない95例(男性67例,女性28例,年齢59.0±14.4歳,DM歴6.9±8.6年,HbA1c値8.8±2.8%)とした.下肢筋力(MS)は等尺性膝伸展筋力体重比の左右平均値を用いた.MQは, 膝伸展筋力実測値を,体成分分析装置で測定した下肢筋量の左右平均値で除した値と定義した.MSは,年代別平均値から1標準偏差以上低下している例を低下群,それ以外を維持群とした.MQは,年代・男女別に中央値を算出し,中央値未満を低下群,中央値以上を維持群とした.MSとMQ各々について,維持群と低下群の2群間で基本属性や身体機能を,Mann-WhitneyのU検定,χ2検定を用い比較した.</p><p> </p><p>【結果】MS(維持群39例vs.低下群56例)は, 年齢(64.2±11.1歳 vs 55.4±15.4歳,p=0.007),DM歴(10.1±10.2 vs 4.59±6.5年,p=0.001),BMI(22.2±3.9 vs 27.7±5.4,p=0.005),体脂肪率(23.9±8.0% vs 32.1±8.8%,p<0.001),骨格筋指数(6.88±1.31 vs 7.73±1.19,p=0.007)にて有意差を認めたが,身体機能では差を認めなかった.MQ(維持群48例 vs 低下群47例)は,維持群で膝伸展筋力(0.56±0.12 vs 0.42±0.12,p<0.001),片脚立位時間(45.4±20.6秒 vs 35.1±22.5秒,p=0.044),歩行速度(1.86±0.30m/秒 vs 1.71±0.35m/秒,p=0.031)が有意に高かった.</p><p>【考察・結論】2型DM患者では,MSよりもMQの方が,身体機能をより鋭敏に反映する指標となる可能性が示唆された.</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,本学生命倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:第3092号).また,世界医師会におけるヘルシンキ宣言に則り,事前に対象患者に対し口頭および書面にて十分に説明を行った上で同意を得て実施した.</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-111_1-A-111_1, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713087495040
  • NII論文ID
    130007692370
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-111_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ