TKA術後の転帰先に関与する因子の検討

Description

<p>【はじめに、目的】</p><p>当院ではTKA患者に対し術後3週間での自宅退院を目標としているが、期間内での自宅退院困難が見込まれる場合はリハビリテーション継続目的に転院している。リハビリテーション部門においては患者の身体機能、能力、社会的背景より術後早期から転帰先予測が望まれている。</p><p>TKA術後の転帰先に関して先行研究では、年齢、同居人の有無、術後の歩行機能が関与すると報告されているが、血液生化学データを加味した報告は我々が渉猟し得た限りでは少ない。</p><p>そこで本研究ではTKA患者の転帰先に関与する因子を血液生化学データを加味して検討し、転帰先予測の一助とすることを目的とした。</p><p>【方法】</p><p>対象は2017年4月1日から2018年3月31日までに当院でTKAを施行した患者のうち、同入院期間中の両膝TKA・調査項目データ不備を除いた30例(男性9例、女性21例、平均年齢:74.5±6.2歳)とした。</p><p>対象患者を自宅退院群(n=15)、転院群(n=15)に分類した。調査項目は性別、年齢、BMI,同居人の有無、介護保険の有無、早期自宅退院希望の有無、術前歩行補助具使用の有無、術前膝関節可動域、歩行練習開始日、T字杖歩行練習開始日、術前Alb値、術前Hb値、術後Hb値、術後CRP値、術後D-dimer値とし、各項目を後方視的にカルテより抽出した。</p><p>統計学的評価はJSTAT for windowsを用い、χ²検定、Fisherの直接確立法、Mann-Whitney検定を用いて群間比較を行った。2群間で有意差が出た項目を独立変数、転帰を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。有意水準は5%とした。</p><p>【結果】</p><p>2群間に有意差を認めた項目はT字杖歩行練習開始日(自宅退院群9.7±3.9日、転院群13.1±4.7日)、早期自宅退院希望の有無であった。ロジスティック回帰分析の結果、T字杖歩行練習開始日(オッズ比=1.461、p値=0.041)、早期自宅退院希望の有無(オッズ比=0.013、p値=0.002)が抽出された。</p><p>【結論(考察も含む)】</p><p>転帰先に影響を及ぼす因子として先行研究でも報告されている術後のT字杖歩行練習開始日が抽出された。また、血液生化学データの各項目は有意差を認めなかった。洲鎌は大腿骨近位部骨折術後患者の転帰先に関して、入院時Hb値、術後Hb値、術後CRP値が影響すると報告しているが、TKAでは影響を与えないことが示唆された。要因としては、TKAは待機的手術であり全身状態を考慮して手術を決定すること、大腿骨近位部骨折患者より若年であることが考えられた。本研究の限界としてT字杖歩行練習開始日の要因は検討されておらず今後の課題としたい。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究はヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則および人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に従い実施した。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390845713087602688
  • NII Article ID
    130007693765
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.h2-184_2
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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