橈骨遠位端骨折受傷例の身体機能と体組成の経過比較

DOI
  • 花田 健
    済生会小樽病院 リハビリテーション室

書誌事項

タイトル別名
  • ~理学療法士介入の必要性について~

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 橈骨遠位端骨折は、脆弱性骨折のうち初発骨折として発生する割合が高い。その受傷例は2次骨折の危険性が高く、予防の為にバランスを含めた身体機能を向上することが望ましいと考えられている。当院では橈骨遠位端骨折患者へ体組成や身体機能を評価し、二次骨折予防に取り組んでいる。本研究では、橈骨遠位端骨折受傷例の移動能力に関連する身体機能評価と体組成評価を受傷直後と6ヵ月後で比較したので報告する。</p><p>【方法】</p><p> 平成27年4月から平成30年5月までの間に橈骨遠位端骨折に対して手術治療と理学療法士による身体機能・体組成評価を受け、半年後に同様の評価を受けた16例(全例女性、平均年齢75.9歳)を対象とし前後比較を行なった。身体機能評価は、Timed Up and Go test(以下、TUG)、Functional Reach test(以下、FR)、2ステップテストを測定した。2ステップテストでは、2ステップ値を算出した。体組成は生体電気インピーダンス法(In Body730使用)を用い、骨格筋量、体脂肪率を算出した。結果を受傷直後と6ヵ月後の2群に分けウィルコクソン符号付順位和検定を用いて統計学的に解析した。尚、危険率は5%未満とする。</p><p>【結果】</p><p>骨格筋量は受傷直後19.3kg,6ヵ月後18.1kg(P<0.01)、体脂肪率は受傷直後26.3%,6ヵ月後30.2%(P<0.01)であった。</p><p>BMIは受傷直後22.1kg/m2,6ヵ月後22.0kg/m2(n.p)、TUGは受傷直後10.2秒,6ヵ月後8.9秒(n.p)、FRは受傷直後27.2cm6ヵ月後33.1cm(n.p)、2ステップ値は受傷直後1.02,6ヵ月後1.22(n.p)であった。</p><p>【結論(考察も含む)】</p><p> 身体機能は受傷直後に比べ、6ヵ月後に数値が向上している傾向がみられた。しかし、体組成については骨格筋量が受傷直後よりも6ヵ月後に優位に低下し、体脂肪率は受傷直後よりも6ヵ月後に優位に増加していた。上記より、橈骨遠位端骨折受傷例は受傷から6ヵ月後に身体機能は大きく変わらないが骨格筋量は低下し、体脂肪率は増加し、体組成が悪化していることが明らかになった。体組成の悪化は、受傷以前と生活が同様もしくは活動量が低下していること、運動習慣が少ないこと、フレイルといった要因も考えられる。また、体組成の悪化は転倒による2次骨折の危険性も高まると推測できる。2次骨折を予防するため、理学療法士による積極的な介入の必要性が高いと考える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は、ヘルシンキ宣言に基づき、全ての対象に研究内容、個人情報保護対策、研究参加の同意を紙面にて説明し、同意を得た上で行った。また済生会小樽病院倫理委員会の承認を得た。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-242_1-H2-242_1, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713087612544
  • NII論文ID
    130007693884
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.h2-242_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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