高用量ステロイド投与下における運動療法が奏効した間質性肺炎患者一症例

DOI
  • 増田 貴行
    浜松医科大学医学部附属病院 リハビリテーション部
  • 髙橋 大生
    浜松医科大学医学部附属病院 リハビリテーション部
  • 長島 正明
    浜松医科大学医学部附属病院 リハビリテーション部
  • 山内 克哉
    浜松医科大学医学部附属病院 リハビリテーション部

抄録

<p>【背景および目的】</p><p>ステロイドの高用量投与は,筋力低下や筋萎縮を惹起する.しかし,その実態は十分に調査されていない.今回,ステロイドの高用量投与が開始となった症例に運動療法を実施した.運動耐容能や筋力に対する運動療法の効果について考察し報告する.</p><p> </p><p>【症例】</p><p>50歳代女性.8年前に皮膚筋炎,間質性肺炎と診断された.今回,間質性肺炎急性増悪で入院(1病日)し,4病日にプレドニン増量(7.5→45mg/day)となった.9-10病日に初期評価を実施し,11病日より運動療法を開始した.ADLは酸素投与下で自立していた.運動療法は,有酸素運動20分と筋力増強運動20分で構成し,週5回実施した.運動強度は,Borg指数13または目標心拍数としてカルボーネン法にk=0.4-0.6を代入した.47-48病日に最終評価を実施し,50病日に自宅退院となった.</p><p> </p><p>【結果】</p><p> CKは基準範囲内を推移した.初期評価→最終評価で6分間歩行距離は,360→420mへ増加した.膝関節伸展筋力は,Rt:49.5→46.5Nm,Lt:41.2→46.9Nmとなった.骨格筋量は,21.7→19.0kgへ減少した.肺機能は,%肺活量が29.5→30.8%,1秒率が111→108%となった. KL-6は3401→3535u/mlと変化がなかった.CT上の画像変化はなかった.</p><p> </p><p>【考察および結論】</p><p> 6分間歩行距離の増加より,運動耐容能の向上を認めた.一般的に運動耐容能は,肺・心・骨格筋機能の総和として表出される.症例の肺機能は,運動療法前後で概ね変化がない.症例は心血管疾患の既往がないため,運動療法前後での心機能に変化がないと推察できる.従って,骨格筋機能の向上が運動耐容能向上に寄与したと考える.症例は,骨格筋量の減少を認めたが,筋力の変化がなかった.一般的にステロイド投与による筋萎縮は,TypeⅡ線維で顕著であると報告されている.つまり,運動療法がTypeⅠ線維での酸化的リン酸化によるATP供給機能の向上に寄与し,運動耐容能が向上した可能性がある</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>ヘルシンキ宣言に基づき,症例へ口頭にて説明し,同意を得た.</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-61_2-A-61_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713087873152
  • NII論文ID
    130007692505
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-61_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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