脳卒中片麻痺下肢痙縮への全身振動刺激 (Whole Body Vibration) 直後における足背屈自動運動時の皮質活性化の変化: 近赤外分光法を用いた検討

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<p>【はじめに・目的】</p><p>痙縮の治療法として,我々は全身振動刺激 (Whole Body Vibration: WBV) を用いた脳卒中片麻痺下肢への新たな痙縮抑制法を考案し,痙縮抑制効果だけでなく,関節可動域や歩行速度が改善することを報告した (Miyara,2014)。さらに誘発電位F波の検討結果から,痙縮抑制メカニズムとして脊髄前角細胞の興奮性低下の関与が示唆された (宮良,2015,Miyara,2018)。近年,片麻痺上肢痙縮への振動刺激による皮質活性化に関する報告は散見されるが,下肢に関しては報告が見当たらず,WBVによる皮質活性化の変化が果たす役割も不明である。本研究の目的は,痙性片麻痺下肢へのWBVによって足背屈自動運動時の皮質活性化に即時変化が生じるとの仮説を検証することである。</p><p>【方法】</p><p>対象は片麻痺患者11名で,下肢Brunnstrom RecoveryStageがⅢ以上,ヒラメ筋痙縮がModified Ashworth Scale (以下,MAS) で1以上,屋内歩行監視レベル以上のものとした。なお,重度な高次脳機能障害や認知症,心肺疾患,骨関節疾患,感覚障害など医学的管理上問題があるものは除外した。研究デザインは介入前後比較試験を用い,WBV前後で評価を行った。WBVは長座位にて,ハムストリングスと下腿三頭筋を刺激し,介入条件は周波数30Hz,振幅4〜8mm,5分間とした。評価項目は痙縮の評価としてMAS,足関節自動・他動背屈角度,Straight Leg Raising test (以下,SLR検査) を測定した。脳血流変化はNIRS (島津製作所社製,FOIRE-3000) を用い,計31本の送受光プローブを3cm間隔で格子状に配置し,全50chで計測した。計測部位は国際10-20法によるC3とC4を基準に配置し,解析はTsuzukiらの報告を参考に,C3とC4の一次感覚運動野 (Primary Sensorimotor Cortex: SMC) を中心とした各14chの関心領域で行った。運動課題は開眼座位で麻痺側足関節背屈運動を行った。安静30秒-運動30秒-安静30秒のブロックデザインとし,3回分を加算平均処理した。統計処理は,MASはWilcoxonの符号順位和検定,足関節自動・他動背屈角度とSLR検査は対応のあるt検定,脳血流変化は活動部位 (病巣側と非病巣側) と介入の影響を2要因として反復測定の二元配置分散分析を実施後,post-hock検定として対応のあるt検定を実施した。有意水準は5%とした。</p><p>【結果】</p><p>MASは有意に低下し,足関節自動・他動背屈角度とSLR検査が有意に増加した。脳血流変化は,WBV前,非病巣側SMCに比べ病巣側SMCの活動が高い傾向を示した。WBV後,両側SMCの活動増加を示した (非病巣側SMCは有意な活動増加)。</p><p>【考察】</p><p>本研究では,痙性片麻痺下肢へのWBVによって皮質活性化の即時変化が生じたものと考えられる。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は,「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従うものとし,鹿児島大学臨床研究倫理審査委員会の承認を得たうえで,対象者に研究の趣旨および方法や手順を十分に説明し,文書による同意を得て実施した。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390845713087912064
  • NII Article ID
    130007692943
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.e-123_2
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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