腰椎椎間板ヘルニア術後における重労働者のホームエクササイズ実施状況と復職状況との関連因子の検討
説明
<p>【目的】本研究の目的は、腰椎椎間板ヘルニア術後において復職を希望している重労働者のホームエクササイズ実施状況と復職状況を継時的に調査し、それらの関連因子を検討することである。</p><p>【方法】当院にて腰椎椎間板ヘルニアに対し術後リハビリテーションを行い、入院前に20㎏以上の重量物や人物の持ち上げ動作を行う仕事に就き、退院後その職業に復職した65歳以下の患者22名(男性13名、女性9名)を対象とした。方法は、術後1ヶ月と3ヶ月の当院整形外科外来診察時に、腰痛・下肢痛・下肢痺れの各Numerical rating scale(以下NRS)測定と1週間のホームエクササイズ(下肢ストレッチ、体幹筋力トレーニング)実施日数を調査した。また、術後3ヶ月の当院整形外科外来診察時には、自己記入式によるアンケートを実施した。アンケートの内容は、「復職後再発ヘルニアに対する不安の有無」、「復職後仕事の実施に対する満足の有無」を調査した。統計学的処理は、1週間のホームエクササイズ実施日数と腰痛・下肢痛・下肢痺れの各NRSとの相関関係を見るために、Spearmanの順位相関係数を求めた。また、「復職後再発ヘルニアに対する不安の有無」と「復職後仕事の実施に対する満足の有無」をそれぞれ「有り群」と「無し群」の2郡に分け、腰痛・下肢痛・下肢痺れの各NRSを各2群間で比較するために、Mann-WhitneyのU検定を行った。有意水準は5%未満とした。</p><p>【結果】入院中の術後リハビリテーション実施期間は、12.6±7.4(日)であった。術後復職までの期間は、44.0±26.1(日)であった。術後1ヶ月のホームエクササイズ実施日数は、下肢ストレッチ5.4±2.4(日/週)、体幹筋力訓練4.6±2.7(日/週)であった。術後3ヶ月のホームエクササイズ実施日数は、下肢ストレッチ2.9±2.9(日/週)、体幹筋力訓練2.3±2.7(日/週)であった。術後3ヶ月のNRSは、腰痛:1.8±1.4、下肢痛:1.6±2.1、下肢痺れ:1.6±2.5であった。復職後再発ヘルニアに対する不安「有り」の回答は16名、「無し」は6名、復職後仕事の実施に対する満足「有り」の回答は15名、「無し」は7名であった。術後1ヶ月における1週間の体幹筋力トレーニング実施日数は、術後3ヶ月の腰痛・下肢痛と有意な相関を認めた。術後3ヶ月の下肢痛は、「再発ヘルニアに対する不安があるか」の質問と有意な相関を認めた。また、術後3ヶ月の腰痛・下肢痛は、「復職後仕事の実施に対して満足しているか」の質問と有意な相関を認めた。</p><p>【結論】術後1ヶ月における1週間の体幹筋力トレーニング実施日数が多い患者ほど術後3ヶ月の腰痛と下肢痛が有意に減っており、術後3ヶ月の下肢痛が減少している患者ほど再発の不安が無く、仕事の実施に対しても満足しているということが示唆された。したがって、腰椎椎間板ヘルニア術後における重労働者のホームエクササイズ指導は、少なくとも術後1ヶ月間は体幹筋力トレーニングを継続するよう指導することが有効と考えられる。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究は、当院倫理委員会に承認されている。本研究の参加に際し、事前に患者に研究の趣旨、内容および調査結果の取り扱い、研究を中断しても不利益が及ばないことなどに関して説明し同意を得た。</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-207_2-H2-207_2, 2019
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390845713087984384
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- NII論文ID
- 130007693757
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可