関節リウマチ患者の足部アーチ構造と歩行時足底圧の検討

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タイトル別名
  • -前足部ピーク圧に着目して-

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>関節リウマチ(以下RA)患者では中足趾節間関節(以下MTP関節)に疼痛や胼胝を形成し、歩行能力低下に繋がることが多い。MTP関節痛、胼胝形成は局所圧上昇などが報告されており、足底圧上昇に関してはアーチ構造の変化との関連性が報告されている。本研究では、RA患者の足部アーチ構造と歩行時前足部ピーク圧の関係を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】</p><p>対象は事前に本研究内容に同意を得られた外来通院中のRA患者19名(38足、年齢:63.58±12.81歳、体重:58.53±12.45kg)とした。除外基準はJSSF RA foot ankle scaleより後足部可動域点数5点以下、MTP関節脱臼例とし、課題動作は7mの自然歩行とした。足底圧の計測には足底圧分布システム(FスキャンⅡNITTA社製)を用いた。計測時間は10秒間とし、サンプリング周波数50Hzにて計測を行った。得られた足底圧のデータからMTP関節部を内側、中央、外側に3分割し、ピーク圧を算出した後、体重で正規化した。内側縦アーチの測定にはX線側面像を用い、横倉法による穹窿係数R値、C値、N値、L値とCalcaneal Pich(以下CP角)を算出した。また横アーチの測定にはX線正面像を用い、M1M2角、M1M5角を算出した。統計学的解析にはSPSSstatsistic23を使用し、Smirnov-Grubbs検定による外れ値の検定とShapiro-Wilk検定による正規性の確認を行った。その後R値、N値、L値、CP角、M1M2角、M1M5角と前足部ピーク圧(内側・中央・外側)の関係を、Spearmanの順位相関係数を用いて検討した。有意水準は5%未満とした。</p><p>【結果】</p><p>CP角と中央・外側ピーク圧の間に正の相関を認めた(中央:r=0.37、外側:r=0.36 p<0.05)。R値と外側ピーク圧の間に、正の相関を認めた(r=0.36 p<0.05)。M1M2角、M1M5角と中央ピーク圧の間に、負の相関を認めた(M1M2:r=−0.42、M1M5 :r=−0.44 p<0.05)。各ピーク圧とC値、N値、L値の間には相関を認めなかった。また内側ピーク圧とR値、CP角、M1M2角、M1M5角の間にも相関を認めなかった。</p><p>【結論】</p><p>本研究の結果よりM1M2角、M1M5角の増大により前足部中央圧は低下することが示された。横アーチは推進期に剛性を高めテコとして機能するため、横アーチの低下により蹴り出しが不十分になったと考える。またCP角とR値の増大により中央・外側圧が増大することが示された。CP角は距骨の内側への落ち込みを反映し、増大により距骨下関節(以下STJ)は回外すると考える。江戸らは、前足部と後足部レベルでCOPが外方を通過するほど、STJの回内可動域が小さいと述べている。したがって、CP角の増大に伴うSTJ回外により、中央・外側ピーク圧が高くなったと考える。R値はSTJアライメントの影響を受けると考えられ、CP角と同様、R値増大に伴い外側ピーク圧が高くなったと考える。前足部ピーク圧の変化は横アーチだけでなく、後足部アライメントや内側縦アーチも関与する可能性が示された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p> 参加したすべての対象者には、ヘルシンキ宣言に基づき本研究の目的や方法を事前に口頭で十分に説明し、承諾を得た後に計測を実施した。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-187_2-H2-187_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713087985408
  • NII論文ID
    130007693774
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.h2-187_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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