インスリン製剤の自己注射用注入器使用時における「空打ち」の目的と意義

  • 朝倉 俊成
    日本糖尿病協会糖尿病医薬品・医療機器等適正化委員会 新潟薬科大学薬学部
  • 近藤 琢磨
    日本糖尿病協会糖尿病医薬品・医療機器等適正化委員会 杏林大学医学部第三内科
  • 稲垣 美智子
    日本糖尿病協会糖尿病医薬品・医療機器等適正化委員会 金沢大学医薬保健研究域保健学系
  • 貴田岡 正史
    日本糖尿病協会糖尿病医薬品・医療機器等適正化委員会 イムス三芳総合病院内分泌・代謝センター

書誌事項

タイトル別名
  • The Purpose and Importance of Air Shots in Self-injection Device for Insulin
  • インスリン セイザイ ノ ジコ チュウシャヨウ チュウニュウキ シヨウジ ニ オケル 「 カラウチ 」 ノ モクテキ ト イギ

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説明

<p>インスリンペン型注入器(以下,注入器)は,注射直前に空打ちを行うのが基本である.空打ちには「事前の作動調整・確認」と「薬液排出の確認」の目的がある.「事前の作動調整・確認」のための空打ちは,原則として全ての注入器で行う.「薬液排出の確認」のための空打ちは,投与量の微量調節が必要なインスリンでは行うが,GLP-1受容体作動薬では必ずしも要求されない.空打ちのための薬液排出量には,患者が注射針より薬液が出ることを目視で確認できる量が必要である.空打ちの手順は,注射針から薬液が出るまで一定量の薬液排出を繰り返し,複数回実施しても薬液が出ない場合は注射針・注入器に問題がある可能性が考えられる.「空打ち」のインスリン量を「2単位」としている背景と根拠は,ペン型注入器の国際的規格(ISO 11608-1)や日本でのペン型注入器の規格JIS T 3226-1において,投与量の設定の最少単位での規格上の精度が1単位±100%(0〜2単位)であること,薬液排出の見えやすさ,初期設定の利便性,そして注射手技習得および指導の簡便性などによる.注入器を使用する者は,空打ちの目的・意義を認識して実践する必要がある.日本糖尿病協会や関連企業は,空打ちの目的や必要性などについて広く啓発する活動を展開している.</p>

収録刊行物

  • くすりと糖尿病

    くすりと糖尿病 8 (1), 112-120, 2019-06-20

    一般社団法人 日本くすりと糖尿病学会

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