2型糖尿病に起因する筋障害と運動療法の効果
抄録
<p>【背景および目的】糖尿病患者で観察されるバランス能力低下などの運動障害には,糖尿病に起因する下肢筋力低下が影響していることが示唆されている.糖尿病の筋障害に関する先行研究は主に,1型糖尿病モデル動物を対象に行われ,速筋優位に筋張力の減少が生じることが報告されてきた.しかし,より臨床的な意義が大きい2型糖尿病モデル動物を対象とした実験はほとんど行われていない.そこで今回は,2型糖尿病モデル動物を対象に筋障害と運動療法の効果について解析を行った.</p><p> </p><p>【方法(または症例)】実験動物には2型糖尿病モデル動物であるOLETFラット6匹と対照群であるLETOラット4匹を用いた.OLETFラットは糖尿病非運動群と糖尿病運動群それぞれ3匹に群分けし,糖尿病運動群にはトレッドミルを用いた運動を15週間行った.その後,各群に対し経口ブドウ糖負荷試験,筋張力曲線の測定を行った.対象とする筋は,速筋である内側腓腹筋と,遅筋であるヒラメ筋とした.</p><p> </p><p>【結果】経口ブドウ糖負荷試験では糖尿病非運動群,糖尿病運動群,対照群の順で高値を示した.最大筋張力は内側腓腹筋,ヒラメ筋ともに3群間で有意差は認められなかったが,体重に占める内側腓腹筋の最大筋張力の割合は,糖尿病非運動群が他の2群に比べ有意に低値を示した(p<0.05).</p><p> </p><p>【考察および結論】2型糖尿病ラットでは最大筋張力の絶対値に有意な減少は認められなかったが,体重に占める最大筋張力の割合は糖尿病非運動群の内側腓腹筋で有意に減少した.これは体重に占める相対的な下肢の筋張力減少が速筋で生じる可能性を示唆するものである.また,糖尿病運動群の値は糖尿病非運動群に比べ有意に高く,運動療法に一定の効果がある可能性が示された.しかし,今回観察された筋張力の変化は,1型糖尿病モデル動物に比べて軽微であるため,運動療法の効果をより明確にするにはさらに長い病期でも検討を行う必要がある.</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究は健康科学大学動物実験倫理委員会の承認(承認番号:28-003)を得て行われた.</p>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 46S1 (0), A-107_1-A-107_1, 2019
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390845713088237440
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- NII論文ID
- 130007692383
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可